うめちゃんからの手紙 2018 No.039 ヒロシの絵とカフェと。

うめちゃんからの手紙 2018 No.039

額装業者に絵を持ち込むうめちゃん。

うめちゃんからの手紙 2018 No.039

一昨年の冬頃から私のアルバイト先では常連のお客様や私たち従業員の絵や写真の展示や販売を行うようになりました。
昨年の春頃から当初の予想を裏切りヒロシの絵がコンスタントに売れるようになりました。
ややこしい税理士さんとのお話、販売した時の書類などを女将さんがきちんと揃えてくださり、私の働くカフェがギャラリーとしての一面も併せ持つようになりました。

ヒロシの絵の売れ行きが好調な理由に2015年1月1日以降に税の仕組みが変わり、一点につき100万円未満のアート作品であれば減価償却の対象として認められるようになった事も一因のようです。
法人以外にも個人事業主さんでも認められるため、飲食店や美容室、書店などの店内や仕事場にヒロシの絵を飾ることで減価償却ができ、節税にも繋げやすくなっているようです。

そして一番の理由はヒロシの絵は気持ちを明るくさせてくれるので目につくとこに飾っておきたいと色々な人に思わせる魅力があるからではないでしょうか。
ヒロシが描く絵のモチーフはヒロシの周りの人や猫、仲の良い犬が中心です。
どこか普遍的な和やかさのようなものがあり、当たり障りがないとも言ってしまえるのですが、絵があるとないとではやっぱり絵が飾ってある方がいいなと思わせてくれる魅力があります。
マニキュアを塗っていなくても生活には支障がないかもしれませんが、綺麗にしてあればやっぱりテンションがアガるというそれに近いのではないでしょうか。(ギャル田中さんの受け売り)

先週も一枚ヒロシの絵が売れました。
お店に絵が展示されていた時の状態は額装されている状態ではなく、コレクターの方が額装を希望してくださったので少しだけ納品に時間がかかりました。
私の両親がコレクターということもあり、絵を販売するときに両親が絵を買った時の経験が活かされました。
今回額装をお願いした業者さんが差し箱と黄袋まで絵に合わせて用意してくれるということで同じ業者で今回はお願いしました。
ヒロシは基本的には世界堂などの画材屋さんで手に入りやすい規格品の木枠でいつもは描いています。
今回もいつもと同様であれば規格品の額縁が使えるので黄袋や指し箱も規格品で安い専門業者から購入も可能なのですが、今回販売した絵はフローティングキャンバス上に描かれた作品だったため、規格品を使うことができませんでした。別に発注する手間と採寸ミスなどの発注ミスの損失をさけるため額装業者に同時に全て発注したのです。
一手間かけて特別に誂えてもらう必要がありました。

フローティングキャンバス(包み張りとも呼ばれています)というのは通常の規格品の木枠よりも厚みがある木枠を利用し、側面ではなく裏側にタッカーなどを利用してキャンバス生地が張られています。
ヒロシは以前から規格品の木枠を利用する時も木枠の裏側からタッカーを打ちキャンバスを張っていました。
フローティングキャンバスの利点は側面にタッカーや釘などが打たれていないため、前面だけではなく側面も表現の一部として活かす事が可能です。
フローティングキャンバスに描かれた絵はそのまま壁にかけて展示されることも多いのが特徴です。
今回絵を買ってくださった方は額装を希望していたためフローティングキャンバスの良さを打ち消さないボックスフレームという額装方法を提案しました。ボックスフレームで額装した場合は側面も見る事ができる事が利点です。(アクリルボックスフレームというものもあり透明な箱で囲っただけのものもあります。)

お金の話に戻ります。
減価償却の対象範囲内に据え付け費や運送費、そして額縁などの付属品も含まれています。
話し合いを女将さんと持ち、ヒロシの取り分を一般的なギャラリーと同じ50%、女将さんとマスター側が50%に設定しました。
専業のギャラリーのように頻繁に絵が売れるわけではありませんが、それでも定期的に絵が売れるためきちん取り決めをしてよかったと思っています。
カフェの会社名で絵を販売するということ、カフェの壁を利用して展示をしているということ、女将さんが焙煎作業の空き時間に配達などの手配をしてくださっているからです。

もう少し込み入った話をすると…
ヒロシが今回販売した絵と額装代の合計価格は35000円でした。
大まかですがそれぞれ…額装代(差し箱と黄袋込)が12500円、F10号(53cm×45.5cm)の包み張り用木枠とキャンバス代の合計が2500円(下地のジェッソの費用などを含む)がかかっています。
額装にかかった費用を引き22500円を折半し材料費を引くとヒロシには8750円ほどの収入になります。
今までに利用した額装業者は4社あり、価格と質に開きがあり、未だに答えは出ていません。
ヒロシの水彩画を販売した際に利用した業者は格安だったのですが、額縁裏のグリーンテープの仕上げ問題があったこと、壁に掛ける際のヒモが付いていないなど結局は高くつきました。
厳密に言えば油絵の具代もかかっており、材料費以外にもヒロシの時給を考えれば赤字寄りですが真っ当ではないでしょうか。
絵を販売してくださったカフェ側も発送や書類の準備、カフェ内の白壁の維持、女将さんの手間などを考えれば真っ当です。
キンちゃんが一昨年カフェで販売したzineや絵などの記録をきちんと管理してくれるパソコンのデータベースを構築してくれたことも本当に助かっています。
仕事場にあるiPadで撮影し、タッチパネル上で販売開始日、販売個数、価格などすべて簡単に登録ができるようになっています。
在庫管理もきちんとされていてオンラインと店頭販売の両方の販売結果が反映されるようになっています。
このシステムのすごいところは一度購入した方でメールアドレスを教えてくださった方に新しいzineや絵が展示されるようになった際にすぐメールを送れるようになっている事、その他いろいろ痒いところにも手が届くように細かに設計されています。
この仕組みは以前キンちゃんが構築してくれたコーヒー豆の販売サイトで得たノウハウが活かされているようで、酸味や苦味などのフレーバーの好み、購入履歴からオススメの豆を表示するサジェスト機能と同じ仕組みが使われているとの事です。(私は専門外なのでこれ以上は分かりません)

最初はアルバイト先で身内の絵を販売しそれが売れることに大きな抵抗がありましたが、マスターが目指す人や文化の交流の場としてカフェが機能して欲しいという思いに微力ながら参加できているのではないかと最近は思えるようになりました。
以前もお話ししましたが、マスターには明確なカフェ論というものがあり、社会への参加と役割を常に意識されています。カフェという場所はただおいしいコーヒーを売るだけではなく”時間を過ごしてもらう”場所です。どのような時間を過ごしてもらいたいか意識することも大事だとマスターはおっしゃっています。)

今日は以上です。

うめこ


今日の一枚

墨田区を歩いてきました。

LEICA M10 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.


今日の曲

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THE SHIRELLES – Will You Still Love Me Tomorrow


今日の一冊

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