人の話はあまり聞かない主義だがやたらと相談されるたまえおばちゃん。
うめちゃんからの手紙 2019 No.096
少し前からはじめおじさんがせんべい作りが暇になった時間帯にストロープワッフルを作るようになりました。
私の勤め先にも卸していてちょっとした騒ぎになるレベルで好評です。
ストロープワッフルというのはオランダの伝統的なお菓子で、ワッフルでキャラメルを包んだもので、コーヒーとの相性が抜群です。
一般的なワッフルのよりはどちらかというとクッキーに近く、柔らかな生地でキャラメルをサンドイッチしたお菓子です。
現地では自転車で売り歩く販売形態のストロープワッフルもいますす。
国内でも関西に専門店があったりやデパートの催事で売られる事がありファンがいる人気なお菓子です。
なかなかはじめおじさん一人で作れる量には限界があり、はじめおじさんのせんべい屋の店頭と私の勤め先だけで不定期で販売しているのみです。
ですが、こっそりはるちゃんや田中さんには横流ししていて今日もスイカのお礼に渡したところ大変感謝されてしまいました。
女将さんの娘さんも大変気に入ってくださっていていつも取り置きしています。
以前ニュースである国ではチョコレート菓子の方が貨幣より価値を持つという騒動が起きたというのを見たことがありますが、まさにそれに近いものがあります。
今日はビッグママ先生がたまえおばちゃんに会いに来ていてお土産にストロープワッフルを持って帰ってもらいました。
ビッグママ先生のところに魔法省からとても良いオファーがあり10月からもしかしたらしばらく魔法学校を離れ魔法省のお仕事をするかもしれないとのことでした。
私たちの魔法学校も魔法省の管轄なので本省でのお仕事は栄転とも受け取ることができます。
肩書きだけ聞くとピンと来ませんが魔法省の電話番のオファーがビッグママ先生にあったそうなのです。
魔法省の電話番というのは大変名誉なお仕事で、歴代の大臣は全員過去に電話番の経験がありますし、魔法省で局次官以上のお仕事につこうと思うと最低でも5年は電話番をしなければいけないと言われています。
４０代で電話番というのはかなりエリート路線とも言えます。
電話番という名前の通り魔法省にかかってくる重要度極めて高い電話を受け取るお仕事で、早い話が法で認可されている魔法が全て使える優秀な魔法従事者免許保持者で免許取得から無事故で15年以上経っている人間、そして最低でも３ヶ国語話せることが条件だと言われています。
ビッグママ先生はストレートで魔法従事者国家試験に合格し、国際免許への書き換えからも15年以上経っていて、さらに４ヶ国語を話すことができる逸材です。
今日現在においても魔法省で情報を照会する場合はコンピューターではなく電話番に連絡する事から始まります。
秘匿性も求められるお仕事ですし、膨大な知識量を持ち合わせた人でなければいけません。
いわば人間GoogleやWikipediaにならなければいけないお仕事とも言えます。
魔法省のお仕事としては珍しく警察権に類する権利が与えらており、魔法犯罪の捜査や裁判の際に立ち会い審議に加わる事もあります。
魔法省が使用を認可している魔法かそうでないかを判断する大事な職務を担っているわけです。
日々膨大に新しい魔法が開発され登録されるのでそれに伴って違法な魔法を使う犯罪も多いのです。
アメリカのシークレットサービスが偽札捜査まで行っているそれに似ているかもしれません。
過去に電話番をしていた魔法使いの多くが天下りをしてしまい男性職員がごそっと抜けてしまったそうで、今度は人員を女性を多めに構成しようということになっているのだそうです。
大変誉れ高いお仕事なので短期間勤めてすぐ一般企業に天下りしてしまう魔法使いが多いのが問題になっているそうです。
そういうこともあり、ビッグママ先生は最低でも3年は勤めてほしいと打診されているようです。
魔法省の電話番経験を積むと魔法学校の校長の資格も降ってくると言われていて、かなり多くの権限が与えられるそうです。
ビッグママ先生は教育者としても誇りをもってお仕事に取り組まれてらっしゃいますから、大変悩まれている様子で親友のたまえおばちゃんに相談にやってきていたのです。
私の勝手な本音では私達が卒業するまではビッグママ先生に学校にいてほしいなぁと思います。
ビッグママ先生ほど頼りになる人はいないのです。
うめこ
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