うめちゃんからの手紙 2018 No.186 英語はとても難しい。

うめちゃんからの手紙 2018 No.186

料理の前に髪の毛を束ねるうめちゃん。

うめちゃんからの手紙 2018 No.186

こんにちわ。
夏季休暇中にもかかわらずお仕事がたまっていてお手紙が遅れてしまいました。
日本の職場で出している壁新聞とZINEの原稿を入稿することができてやっと時間に余裕が持てるようになりました。
私が編集長を任されているので責任重大です。
新しい試みでカフェの常連さんのお店の服を私とマリーちゃんとはるちゃんが着ている写真を紙面に載せることになっていたため写真選びに時間がかかりました。
デジタルカメラを私もはるちゃんも持ってきていたのですがフィルムでも何本か撮っておこうということになり郵送でロンドン市内の現像所に出していたために時間がかかっていたのです。
ロンドン市内にあるMetroというプロラボさんが吊り現像を今でもされているということを母から教わっていたのでそちらで10本郵送でお願いしていました。
(ブローニー6本、35mmが4本。)
Metroさん以外でも英国内で吊り現像をされているプロラボはあります。
その際はDip and Dunkの表記があるラボを選べば吊り現像で処理していただくことが可能です。
日本と違い海外ではラボによっては6コマでカットしていただけない場合があるので事前に確認し、それでも不安であれば長巻でお願いすればフィルムケースなどに入れて返却してくださいます。(母がアメリカで現像したことがあるのですがその時は5コマでカットされて戻ってきました。)
今回も感材費と現像代が経費で落ちるのでなんだか強くなった気持ちです。
デジタルのライカで撮影した画像はすべてDropBoxというサービスを使って日本の職場の女将さんとはるちゃんが共有してくれています。
フィルムで撮影したものはイギリスでデジタルデータ化する費用があまりにも高額であるため祖母の仕事場にあるスキャナではるちゃんにデータ化をしてもらいました。
祖母のイギリスのサマーハウス内にある仕事場にはコピー機やスキャナなども設置されているので日本にいる時と変わりなく祖母の仕事ができるようになっています。
私の日本の職場にはフィルムを読み込むだけ専用機が設置されているのですが、祖母の仕事場に設置されているものはいわゆるフラットベッドと呼ばれるタイプのもので、主に手紙やプリントされた写真、いわゆる反射原稿を読み込むことに長けた機種です。
そのため透過原稿であるフィルムネガを読み込む専用機に比べればあくまでもおまけといった製品の住み分けがあるようで、スキャン画像のシャープネスさなどが劣るそうなのですが、私とはるちゃんが出している印刷物に使うには十分綺麗にスキャニングすることができました。
スキャニング作業で埃を取ったりするのに大変手間取りましたがフィルムからも30枚ほど写真を読み込みDropBoxで日本の女将さんにも見ていただくことができました。
デジタルカメラで40枚、フィルムで30枚まで私たちで候補を絞り日本の女将さんと複数回メールのやり取りをして編集作業を進めました。
紙面に載せきれない写真ははるちゃんとおかみさんが運営しているブログに載る予定です。
祖母の仕事部屋は祖母の個性が出ていて、スキャナーからパソコンのモニターに至るまで全て祖母の手作りのカバーが掛けられていてとても可愛いです。
リバティ柄のスリーブがモニターに掛けられていてはるちゃんは日本に帰ったらこのアイデアを真似して私もカバーを作るのだと言っていました。

こだわりと言えるほどのものではありませんが私たちが発行しているZINEはページを進むごとに彩度に変化をつけるように編集しています。
基本的にはすべて中綴じ冊子になるのですが、ちょうど真ん中のページを境に少しずつ彩度が落ちていくように全体を通して台割りの段階から決めています。
一番の理由は印刷費を抑えるためでもあるのですが、写真ページよりも文章ページの需要が大きいという事も理由の一つです。
私の職場はカフェで、その店内で時間を潰すために読んでいただくという特性があるからです。
最初のページが朝7時頃、ページを進むごとに時間が進み最後が夜7時頃をイメージして使用する写真の彩度や文章のトーンなどが変化していくようになっています。

編集会議の時から次号は気合が入っていました。
エヴァンジェリストを名乗るつもりはありませんが、イギリスの食文化について総力をあげて特集記事を組んでいるからです。
祖母の親戚にも協力していただいてこちらの伝統的スイーツの撮影などもしました。
祖母に手伝ってもらいイギリスの家庭料理も作りました。
先日のロンドン滞在中も移民家庭の食生活と食材についても取材をしてきました。
ブリックレーンにあるユダヤ系のベーグル店、ニュークロスゲイトにあるジャマイカ系のジャークチキン、そしてケバブについての記事を書きました。

日本ではイギリス料理がまずいことが公準のように広く語り継がれていますが、私はそれは事実ではないと常に思っています。
ズバリイギリス料理がまずいと言われることになった原因の一つが”英語”にあると思っています。
学習者も話者も多い言語なのですが…実はとても難しい言語でもあると私は思っています。
同じ英語にもかかわらずアメリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリア、e.t.c、すべての国で進化を続けていて食にまつわる単語もかなり多様な変化を続けています。
先日餃子を作った日にもお伝えしたと思うのですが、広く使われていて話者が多いために誤解も大きく無理解がまかりとっている言語だとも言えます。
ニラの例をあげましたが、ニラを日本の英語辞書で引くとLeekという単語が出てくる場合があります。
ところがこちらでLeekをというとニラよりは日本でいう長ネギのようなものがLeekとして売られています。
日本人がイメージするニラを買い求めようとした場合はGarlic ChivesであったりChinese Chivesといえばイギリス人にも通じる可能性がぐっと上がります。
メロンを買おうと思ってmelonと伝えればイメージ通りのメロンが手に入ることは多いと思いますが、ウリ科の野菜にはメロンがつくことが多くゴーヤもBitter Melonとなりメロンには違いないのです。
厳密に日本人がイメージする網目状の皮をもった内側がオレンジ色のあのメロンを買おうと思ったらcantaloupe(マスクメロン)いったほうが通じるでしょう。
ところがです!同じ英語圏でもオーストラリアではcantaloupeではなくRock melonと言ったほうが通じるのです。
日本ではただメロンといえばほとんどの人が同じものを想像すると思うのですが英語圏ではそうはいかないのです…甘露メロン、マスクメロン、ウリに近いメロン、ゴーヤ…すべてがメロンなのです。
小さな差異でもそれらが積み重なると一生懸命作られたレシピ本があっても大きく異なった料理が出来上がってしまいます。

逆のアプローチで見てみると日本ほど食へのタブーや制約が少ない国もないように思います。
日本以外のアジアの国々や世界各国では宗教や風習などから食せないものや、中には肉の加工方法から調理法に至るまで制限があります。
日本は日本人にとっては美味しい料理がある国かもしれませんが、日本に来た外国人のすべてがそれらを享受できるわけではありません。
パンやおまんじゅうのような簡単な食品でも宗教で食べられない人がいます。
日本ではハラル食品やコーシャ食品を探すのは大変ですがイギリスでは簡単です。
日本よりは各宗教の信徒が食べられる食事に簡単にありつける国です。
イギリスではあまり意識することは無くなりましたが、イギリスも宗教の影響を色濃く受けた食文化の国とも言えます。
イギリス料理の中で抜群の認知度を誇るフィッシュアンドチップスにしたってキリスト教徒が金曜日に魚を食べるフィッシュ・オン・フライデーの影響を色濃く受けています。

日本ではイギリス料理以外にも理解が進んでいない他国の料理は多くあると思います。
日本人が幼い頃から学習している英語が使われている国々に限って意外と理解が浅いのかもしれません。
食文化には政治、宗教、そしてその国で暮らしてきた人たちの知恵や愛がたくさん詰まっているのです。
他国の食文化を批判する人が私は嫌いです。

今日はここまでにしておきます。

うめこ


今日の一枚

EOS 6D / EF24-70mm F4L IS USM

ベトナムで撮影 EOS 6D / EF24-70mm F4L IS USM


今日の一曲

Nirvana – Smells Like Teen Spirit (Live at Reading 1992)

Nirvana – Smells Like Teen Spirit (Live at Reading 1992)


今日の一冊

Copyrighted Image

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