田中さんは黄色がとても似合う気がする。
うめちゃんからの手紙 2019 No.061
今日はびっくりたまげた事がありました。
あの田中さんがライカを首から下げ私のアルバイト先にふらりとコーヒーを飲みにきてくださったからです。
去年イギリスに滞在していた時も田中さんはライカのこれまたマニアックなR4という一眼レフカメラを下げてらしたのですが、まさか田中さんがデジタルライカを首から下げる日が来るとは思いませんでした。
なんだか新興宗教に勧誘してしまったような罪悪感すら覚えますが大好きな田中さんが私と同じものを持つと言うのはとても嬉しいものです。
田中さんがおっしゃるにはとあるライカ販売店の通販サイトを見ていたところ心無い客がつけたと思われる傷がついてしまった展示品のライカMというモデルがメーカー希望小売価格の半額以下で販売されておりこれは何かの縁だと思い買ってしまったのだそうです。
これは本当に驚く値引き額で私も他の常連客の方達も目が飛び出ました。
カメラに人格があるのであればあまりにも不憫な大幅値引きです。
傷がついてしまっている以外は全くの新品で全て付属品なども揃っているそうです。
人間でいうおでこの辺りに指輪か何かでえぐれたと思われる傷がある状態です。
それでもめちゃくちゃに良いカメラです、田中さんに無事に買われてカメラも幸せだと私は思いました。
ライカM(typ240)というのは今でも現行で売られているカメラで私の叔母も使っているカメラです。
有効画素数だけで語れば最新機種のM10と同じ2400万画素と仕事で使う上でも全く不足がありません。
私の母が使うM10という後続機では動画撮影機能がオミットされたのでM型ライカでスチルも動画も撮れるという全て詰め込んだモデルはこれが最初で最後ではないかと言われているちょっぴり個性が光るカメラでもあります。
私が昔父に買ってもらったフェンダーのテレキャスターも傷があるというだけで恐ろしく値引きされていたのを私がお迎えしました。
そのテレキャスターは他の試奏者がベルトのバックルでつけたと思われる傷で入っていました。
左利き用で緑という色が私の求めていた条件そのもので、予算的にも助かる価格だったので父がその場で買ってくれたのでした。
塗装に傷があるから値引きされていたギターですが、皮肉にもその塗装の具合が良かったのか本当に良い音のギターです。
よっぽどいい木材と塗料の硬化具合やコンディションなのか生鳴りでも違いがわかるほど明確に良い音がするギターで本当に良い買い物をしたと父に感謝しています。
自分の持ち物でないギターを試奏して傷つけて帰る奴はダメなやつだと思うし許せませんけどね。
消費者が綺麗で傷がない商品を買いたいという気持ちはよくわかりますしお金を払う以上は正しい権利だと思います。
ただ使う上で機能上問題のない外見の傷であったり、商品とは全く関係ない外箱の損傷で販売価格が大きくが落ちてしまうのは悲しい気もします。
たまえおばちゃんから昔はIBMのThinkPadというパソコンのキーボード上にある赤いポッチのゴムを盗んでいく心無い人が各地に居て家電量販店を見に行くと盗まれた無残な姿をよく見かけたと聞いた事があります。
家電量販店にカメラを見にいくとグリップのゴムが剥がされていたりフラッシュのシューカバーが盗まれているものなどをよく見かけます。
商品を買う気がないのに瑕疵商品にしてしまう人はひどいですね。
新品で綺麗な状態のもの、それもとても高価なものを購入してもがっかりすることも多々あります。
私の大阪の祖母はドイツの車が気が狂うほど好きでなのですが、その中でも特に祖母のお気に入りの一台は軍用車のように無骨なイメージが売りな車なのにも関わらず真冬に窓が落ちるというトラブルを私は見た事があります。
ちょっとしたマンションが買えるくらい高い車なのに窓もまともに閉まらないと祖母は母から揶揄われていましたが、祖母は慣れた様子でこの車の持病だから仕方がないとガムテープでやり過ごしていました。
なんと私が見た時が初めてではなかったようです。
ビルの看板が祖母の車に落ちてきた事もありましたが祖母は無傷で今日も元気にやっているので、祖母が愛情を注いだぶんきちんと祖母を守ってくれている車なのだと私は思っています。
私は万物に魂が宿ると信じていて道具は愛を注いでいくものだと考えていますが、道具にも感情があったりケガや病気をする事があって当たり前だと思うようにしています。
私自身がかなりポンコツな人間なので人や物に対し多くを求めないようしないと自分が否定されているようで苦しくなるからです。
うめこ
今日の一枚
LEICA M Typ240 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.
今日の一曲
オレンジペコー やわらかな夜
