実家に戻りうめちゃんの弟の面倒を見てくれているヒロシ。
うめちゃんからの手紙 2019 No.026
絵画教室の後、実家に電話をしたところ母がすごく暗くどうしたのかと尋ねると、父と買い物に出かけたショッピングモールで大学時代の後輩に会い嫌な事があったのだそうです。
大人になったら精神的に強くなるか？というとそういうものでもなく、人間万事塞翁が馬でなるようになるのか？というとそうでもないのが実情です。
話を聞くと法学部時代の後輩に「なぜ先輩は弁護士資格もあり歳上でもあるのに主人と”パートナー”を呼ぶのですか？先輩の方が人間的に劣っているわけでもなく、男性に隷属しているわけでもないのに」と言われたのだそうです。
まぁめんどくさいやつに母も遭遇したなと率直に思いました。
母は父のことを主人なんて呼ぶことは滅多にありません、どちらかというと外行きの方便という感じでしょうか、特に考えずに言ったのだと私は思います。
以前お話ししたように父のあだ名が昔から画伯だったこともあり、両親と親しくしていただいている方達は父のことを画伯と呼び、同様に母も画伯と父を呼んでいます。
私の解釈では母と父の間で”主人”という言葉はディズニーのミッキーマウスのそれに似ている気がします。
ディズニーといえばミッキーですが、ディズニーランドとなるとシンデレラ城や他のアトラクションの名をあげる方が多いのではないでしょうか？
ミッキーはディズニーというブランドを象徴するいわゆるブランドの”主人”であるわけなのですが、一番偉いか？と問われるとそうではなく、ディズニーランドにおいてはキャストの方であったり、他のディズニーアニメのキャラクターの活躍があり、来客者それぞれに思い入れのある”主人”がいるわけです。
ディズニーランドの他のキャラクターとミッキーマウスの間に主従関係はありませんし、人気度からくるカーストのようなものもありません。
ディズニーというブランドがなければミッキーは活躍できませんし、ミッキーがいなければディズニーランドに来た人は寂しさを感じるのではないでしょうか？
ある意味で母はディズニーというブランドそのもので、父はその中の代表的キャラクターのミッキーという感じだと捉えています。
全く上手く例えられていませんが、とにかく他人から両親の関係性を批評される筋合いはないのです。
母の好きなように父のことを呼んだらいいですし、自分の呼び方が正しいのだと胸を張っていいのです。
私の父が長期間体を壊していた事があり、母が長い事父を養っていた時期がありました。
私の母は自信を持って私の父は画伯である、絵を描くのが上手なのだと周りに包み隠さず話していたのですが、一部の人たちは売れないヒモの画家と同棲していると思っていたようです。
母の後輩の中での父のイメージがそこで止まっていることも原因の１つで、いまだに父はダメな男やと世間では思われているところも少なくありません。
父は賞の受賞経験もありますし本も出ているのですが、あまり目立たないので仕方がありません。
父は心は強いが体は弱く、母は体は丈夫だが心は弱い。
人と関わるのは苦手だけれど父の舵取りの上手な母のおかげで父の絵や絵本も売れるようになったのだと父も私も思っています。
父の病気も落ち着きなんとか歩けるまでに戻った矢先、今度は母が職場の不一致からかうつ病を患います。
今度は立場が逆転し、父が母のお世話をするようになりました。
母はうつ病で休職中に父と二人でテレビをだらだら見ていた時間がとても嬉しく一番好きな時間の過ごし方だったと言っています。
父がその頃よくフルーチェや牛乳と混ぜるだけで作れるいちごプリンにやたらとはまっていたそうでニヤニヤしながら具合の悪い母にいつも食べさせていてと母が話してくれたことがありました。
何度も重ねたデートよりもそういうことの方がしっかり克明に覚えているものなのですね。
学生時代のデート同様に病気で家でだらりと過ごした時代も二人にとっては人生の大事なページなのです。
他人に私の両親の関係性をとやかく言われるのは間違っているのです。
母もなんやねんこいつ！くらいに思っていればいいのです。
以上です。
うめこ
今日の一枚
LEICA M10 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.
今日の一曲
Tracy Chapman – Fast Car (Live 1989)
今日の一冊
