うめちゃんからの手紙 2017 No.215 メガネ率100%

うめちゃんからの手紙 2017 No.215

一族全員メガネ。

うめちゃんからの手紙 2017 No.215

いずれ私が当主になるという事で暮れの暮れのギリのギリまでやる事がたくさんあります。
家のお掃除からお餅屋さんやお菓子やさんに預けてある私の家だけの型の受け渡しをしたり、挨拶に回ったり。
挨拶をしたり用事に外を出る方が私にはしんどく、家でお掃除を黙々としている方が割と好きで頑張れます。
年始に食べるお菓子や仏壇や神棚にお供えするお餅の手配の確認から、もちろん五具足を磨いたり荒神様を綺麗にしたりと大忙しです。

私の実家ではほとんどの食事を父が作っているのですが、年末年始は母が作ります。
母が作ってくれるお稲荷さんを食べながらひたすら用事と掃除の繰り返しの1日でした。
魔女の家に限らず商家の方もそうだと聞いた事があるのですが、おせちは全く作りません。
それでも数の子やごまめなどは用意します。
それと父が毎年金環や柚子を使った柚餅子や餅を風邪予防の願いを込めて作ってくれます。
質素で日常と変わらず。
ただうちはみんながやっと揃う日が年始にあるのでその際はみんなでそろって外食をします。

私の帰省前のシミュレーションではもう少しマリちゃんにかまってあげられるかな、案内してまわれるかなと思っていたのですが以外とうまくいかないものです。
私の心配をよそにマリちゃんは結構ゆっくりと深く睡眠を長い事とっていました。
移動と普段の疲れがどっと出たのでしょう、私の家でもぐっすりと眠る事ができたみたいで嬉しいです。
もう一つ驚いたのが母も父も気をきかせてマリちゃんに何か食べたいものがあるのかと聞いたのですが、マリちゃんはふりかけをリクエストしただけであとは私たちと同じご飯を食べていました。
マリちゃんは偏食ではないのですがふりかけ愛がすごいです。
ふりかけと白ご飯とお味噌汁だけでも幸せだそうです(生粋のロンドン生まれロンドン育ちのイギリス娘。)
ちょうど母が好きな野沢菜ふりかけ、ちりめん山椒、ワサビふりかけなど私の実家のふりかけ類の充実ぶりにマリちゃんも喜んでいました。
ちりめん山椒は東京に帰る前に一等美味しいものを用意しておいてあげようと思います。
でもイギリスのご飯は恋しくないのやろうか?

少し話を戻します。
私の家にお正月のお菓子を持ってきてくれるのは父の幼馴染の高校の時の元カノで奈緒ちゃんという方です。
今日はお菓子を持ってきてくださるついでに父と私の顔を見にきてくださいました。
特にこれといった気まずさはなく、母とも普通に会話もあるのですが、不思議なせせこましさを私は感じます。
父の交友関係、昔の恋人、苦手な人、思い出の場所、なんというか私の地元でもあるのだけれど父のテリトリーで行く先々で父を”画伯”と呼ぶ人たちから画伯の娘さんと呼ばれるのです。
うめちゃんと呼んでくださる方もいますが、私はまだまだ”画伯の娘さん”です。
少し前までは奈緒さんのお父様がお正月のお菓子の御用聞きなどでうちにきていたのですが足を悪くしたそうで、最近は奈緒さんか、奈緒さんの旦那さんがうちにお菓子を持ってきてくれているようです。
奈緒さんは一度も画伯と呼ぶ事はなく、猪十郎くん、うめちゃん、ももえさんと名前できちんと呼んでくださります。
近所にいた小学生に卑猥な言葉ばかり教え込まれていた九官鳥が死んだという話や、ふりうりで野菜などを売って回っていたおばあさんが引退され他の商売をやっていた息子さんが車で回るようになったという話、すごく古くから商売をされていた家が軒先をコンビニに借してしまい夜でも通りが眩しいくらいに明るくなってしまった話、伏見区で私の同級生が原付で転んで怪我をした話など私が実家を離れていた間の変化を教えてくれました。

午後2時ごろに奈緒さんが持ってきてくれたお菓子を食べながら談笑し、3時過ぎに今日のメインイベントのために外出をしました。
祖父と曽祖母(あまり日記と手紙で触れる事はありませんが元気にやっております。)がマリちゃんにも晴れ着を用意してくれていました。
ぱっと見るとすごくシンプルで華やかではないのですが植物染めでかなり緻密に花弁の柄がチェックのように配置された、どことなくマリちゃんの性格を体現したようなドンピシャな着物でした。
それはマリちゃんの半襟を曽祖母誂えてくれていたそうで、長く付き合いのあるお店まで取りに行くお使いでした。
曽祖母はかなりの衣装持ちで、ここは祖父のレコード蒐集と同じ性格でとてもありその中からマリちゃんに一枚くれるという事になりました。
半襟だけは新たにマリちゃんのためだけのものを作ってあげようという事になり随分前からマリちゃんの家のHerbcraftというファミリーネームから薬草や薬坪、そして私の家の家紋と鍵のモチーフを忍ばせたとても素敵な半襟でした。

今日は以上です。

マリちゃんも半襟と着物をとても喜んでいました。
それにしてもメガネの人口密度100%、みんな同じタイミングでメガネのズレを直すものだから滑稽です。
実家シンクロニシティ。

うめこでした。


今日の一曲

Mogwai – Take Me Somewhere Nice

Mogwai – Take Me Somewhere Nice


今日の一冊

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