うめちゃんからの手紙 2021 No.004 奇跡的な事の連続が日常なのかも知れない。

うめちゃんからの手紙 2021 No.004

うめちゃんを迎えに来てくれたやさしいヒロシ君。

うめちゃんからの手紙 2021 No.004

寒いからというのもありますが最近は仕事の後で疲れていても下宿までの道を歩いて帰っています。
季節が良くなればほうきで飛んで帰れば安全で楽なのかも知れませんが、春の気配がそこまできているとはいえ、まだまだ空を飛ぶには寒すぎます。
コロナ禍前ですとはるちゃんと立ち食い蕎麦屋に立ち寄る事もあったのですが、最近は1人か迎えにきてくれるヒロシと一緒にぽつりぽつりと神田から日本橋まで歩いて帰っています。
ヒロシも同じく神田は神保町の古書店に週に何度か働いています。
都内の地理に詳しい方でしたらなんだ大した距離じゃないじゃないかとバレてしまいますね。
それでも神田から日本橋の距離感というのは絶妙です。
考え事をするには短すぎるし、日々の失敗や人間関係のあれやこれで落ち込むにも足りない距離です。
そんな距離感でもヒロシと日常のお互いの思慮のすり合わせには都合が良いです。

ヒロシが潔癖症になったのはいつからなのかぼんやりしてしまってわかりませんが、コロナ禍の今となっては彼の衛生観念であったり心配りができる丁寧な猫柄が暖かくありがたくもあります。
潔癖症で人よりコロナに怯えているヒロシではありますが、頻度を減らしてはいますが親友のだいちゃんとキンちゃんには時々顔を合わせるようにしています。
三郎ほどではありませんがヒロシもコンピュータに強い2021年を生きる猫なのでテレビ電話でもよく彼女や友達と話しているようです。
ヒロシの彼女の家は旅館業を営んでおられ、コロナの影響を極端に受け大変な状況のようです。

職場の休憩時間に健一さんと麦山さんと色々な事を話しました。
まだまだ寒い日が続きマスターの腰の具合が今年もよろしくないという事で、人員が増えたのですが、お客様方はマスターに会いたくて顔を出してくださっているのでマスターも静養に籠るというわけにもいきません。
最近報告していませんでしたが、一昨年から働き始めた山橋さんもまだ勤続されています。
山橋さんは将来実家で焙煎カフェを営むのを夢見てらっしゃる方で、弊社で働きながらお金を貯め焙煎について女将さんから学ぶ毎日です。
山橋さんは千葉から出勤されてらっしゃるので、コロナで緊迫した状況の時は自宅待機と自宅で作業をしてもらっていました。
私の働く会社はカフェの営業以外にコーヒー豆の焙煎、美術品の販売、定期刊行物の販売、ワークショップの運営をしています。
母体となるのはカフェ事業ですが、文化交流の場になるように、美味しいコーヒーを手に友人達と集えるソシアルクラブ的空間を提供していきたいという理念のもと皆が集い働いています。
早い話が楽しく暇が潰せ、寂しさを紛らわせられるお手伝いをしていく会社というわけです。
そのため”場に居られない”というのは大変困った事態でした。
それでもカフェという空間に体がなくても毎月こなしていかなければいけない仕事はたくさんあります。
一つが、メールマガジンとフリーペーパー、そして定期刊行している雑誌の編集作業です。
定期刊行を継続していくためにはたくさんの仕事があります。
大変恵まれたことに広告を出してくださる会社もあり、広告主様との連絡も欠かせませんし、読者様からのお手紙にも目を通さなくてはなりません。
ただ私の働く会社は個人情報を持ち出しの一切を禁じているため、それらの作業は職場でしか行えません。
それでもまだたくさんの仕事が残っています、校閲、レイアウトや挿入する写真の確認作業、e.t.c
それ以外にも販売しているコーヒーの段ボールや封筒へのラベル貼り付け作業等もありリモートワーク時でも頑張ってなんとか仕事を割り振ってきました。

新人の麦山さんはパソコンに強いようです。
山橋さんも私同様パソコンに弱かったのですが、今回のコロナ禍で山橋さんは本当にパソコンが上達しました。
山橋さんが私の会社で勤め始めた頃の事を今でも鮮明に覚えています。
山橋さんの一言一言と一挙手一投足が少し前の邦画のヒロインのようだったからかもしれません。

「私は両親のおかげで大学まで行かせて頂いたのですが、結婚してから子供を産み今日まで何もしてこなかったのですが、皆様のお役にたてますでしょうか?」

山橋さんのこの言葉がとても印象的でした。
私のような若輩者が言うことではないかも知れませんが、結婚してから子供を育て今日まで何もしてこなかったと言うのはあまりに自分を卑下しすぎです。
アレルギー持ちのお子さんのために食事についていろいろ勉強もされ、一生懸命子供を育ててらっしゃるわけですから、誇ってもいいはずです。
良くも悪くもコロナ禍で人が簡単に死んでしまうと言う事を再認識するようになった気がします。
同様に人が成長するにも大変な忍耐、そして奇跡としか思えないような幸運、そして周りの協力がなければ無理な事です。
案外不安定で難しい事が奇跡的に達成しているそんな連続こそが日常、それを経て人が育つのだとすれば大変なお仕事である様に私には映ります。

うめこ


今日の一枚

Olympus XA / Xtol 1+1   自家現像 Eastman Double-X 5222

Olympus XA / Xtol 1+1   自家現像 Eastman Double-X 5222


今日の一曲

N'夙川ボーイズ – 物語はちと?不安定

N’夙川ボーイズ – 物語はちと?不安定


今日の一冊

Copyrighted Image

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。