うめちゃんからの手紙 2020 No.039 時代が変わったのだ。

うめちゃんからの手紙 2020 No.039

漢字の読み方をぴゅう太君に教えているまっちゃん。

うめちゃんからの手紙 2020 No.039

一応現役の魔女が2人もいる家なので紙の魔法新聞、魔女新聞、子供魔法新聞の3紙が私の暮らす下宿には届きます。
曽祖父が主筆なので新聞取っているのもありますが、私はパソコンが苦手なので意外と大事な情報源です。
でも下宿で一番魔法使い向けの新聞を読んでいるのははじめおじさんです。
その次にヒロシ、そして私、たまえおばちゃんといった感じでしょうか。
魔法使いと魔女向けの新聞といっても一般に流通している新聞と大部分は同じでテレビ欄もありますし、漫画のページもあります。
ただ異なるのはホウキで飛行することが多い職業柄、空の事に関するニュースは事細かに書かれています。
クジラや竜がどの辺りを飛んでいる、迷いフクロウ情報、e.t.c.
職探しをしている猫達のCVも載っています。
日本語の子供向けの魔法新聞は2020年現在は悲しい事に1紙だけになってしまいました。
私が小学校の頃はギリギリ3紙ありました。
海外の英字新聞ではまだいくつか子供向け魔法新聞も残っています。
東京の下宿に届くのは日本語版で、これは二郎と三郎が四コマ漫画を読んだり、たまえおばちゃんが子供の頃から読んでいるコラムと小説をスクラップしていたりします。
大人の魔女でも子供の頃から継続して子供版の魔法新聞を読み続けたりする人も普通にいます。
大阪の祖母も子供用を読んでいたりします。
意外と子供向けが一番思想や政治的偏りがなく読んでいて不快感が少ないのです。

どの魔法使い向け新聞も魔女新聞も購読契約にはすでに契約している購読者からの紹介状が必要です。
不思議なもので契約書には住所を書く欄は一切なく、名前だけを記入するのですが引っ越したり旅行先でも契約を解除するまではきちんと毎朝届けられます。
詳しい理屈は存じ上げませんが紹介状を誰かが書く事で購読者が実在の人物であるという事、所在地や繋がり、縁のようなものを確認していると聞きました。
一番身近な購読者が紹介状を書く習わしで、私がまっちゃんの紹介状を書き、まっちゃんも先月から定期購読を始めました。
まっちゃんはぴゅう太君という猫と暮らすようになったので魔法が使える猫の飼育情報も豊富な子供魔法新聞を購読したかったのです。
ぴゅう太君、猫の学校にこの春から入学する予定なのですが、コロナ騒動でどうなることやら、保護者のまっちゃんもやきもきしています。

さて何故はじめおじさんが毎朝真面目に目を通しているかというと、魔道具や家具のクラシファイドがとても充実しているからです。
魔法使いと魔女は古いものがとにかく好きで物持ちが良くリサイクルが美徳なので古いものが欲しかったり売り出したい時は魔法新聞を活用するのが一番です。
はじめおじさんは少し前からリビングルーム用のダイニングチェアを探していました。
ドムスチェアという名前の椅子なのですが、ちょうど良い出物があったので二脚のセットを今朝注文していました。
ドムスチェアについてはいつか詳しく書こうとは思いますが、作りが簡単な椅子のため直したり手を加えてはじめおじさんが愛用していて、元からある4脚と合わせて6脚揃うことになりそうです。
これで来客があっても快適に食事を楽しんでもらえます。
文子ちゃんと歌子ちゃんの赤ちゃん用品などの一部は魔女新聞で売ったりしています。
とても似合っていた可愛いベビー服の一部を残し後はたまえおばちゃんちゃんが出品していました。
ベビーベッドは母とたまえおばちゃんが赤ちゃんだった時代のものが2セット大事に保管されていたのでそれを使い、1つは神戸に返却され、もう1つは私の弟が現在使っています。
ベビーベッドは場所をとるのですが、不思議と売ることがなく何十年も昔から残って来たので、このまま大事に受け継いでいくことになると良いです。

家具などはあまり失敗はありませんが、ホウキだけは絶対に中古で買うなと皆口を揃えて言います。
ホウキというのは魔女や魔法使いが手にしてよっぽどでなければ壊れるまで使うものなので、それが中古に出るということは癖がひどいホウキか曰く付きである可能性が高いのです。
ホウキ、1980円のものから上は天井知らず、1億円のだって飛んでいたりします。

名工が作った高級なものでも中古は避けられる事が多いです。
たまえおばちゃんと母は魔法従事者国家資格が取れた時にすごく良いホウキを買ってもらったそうですが2人が普段乗っているのは3万円のママチャリ感覚のホウキです。
3万円のホウキでも良いのに乗ってますねと言われるご時世です。
魔女と魔法使いがよく利用するディスカウントストアで売られている1980円のホウキに乗っている人もざらにいます。
私は5万円のホウキに乗っています。
意外と学生の方が社会人より良い値段のホウキに乗っています。
これには理由があり、5年ほど前から一定金額以上のホウキを買うと保険が付帯するようになったので大体5万円前後のホウキに乗っている魔女が多いのです。
東京都が最初に条例化したと記憶していますが、2015年ごろから無保険ではホウキで飛べなくなる街が出て来たのです。
両親とたまえおばちゃんは魔法省が職場で、保険に加入しているので3万円のホウキでちょうどいいわけです。
私たち学生は5万円のホウキを買うと学生の間は最初についてくる保険でカバーされるので金額的に一番リーズナブルになるわけです。
魔女がホウキで空を自由に飛ぶ、これぞ魔女のアイデンティティだった気がしますが時代が代わり保険に加入していなければ空も自由に飛べません。

きちんと1980円のホウキにも役割があって、忌み嫌われる仕事を請け負わなければいけない事が魔女と魔法使いは必ずあり、その時に使い捨てできるように安いホウキが存在しているわけです。
連れて帰って来てしまった場合はホウキごとお焚き上げするのです。
でも1億のホウキを買っても変なものがついてしまったらお焚き上げする事もあるので、そこそこのホウキが一番です。
そういう乗るには危険だが燃やしたくない、そんなホウキが魔法新聞の広告に載るわけです。

うめこ


今日の一枚

EOS 6D / EF50mm F1.8 STM

EOS 6D / EF50mm F1.8 STM


今日の一曲

Lou Reed – Walk on the Wild Side (Official Audio)

Lou Reed – Walk on the Wild Side (audio)


今日の一冊

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