うめちゃんからの手紙 2017 No.129

水彩画で描くうめちゃんから手紙

うめちゃんからの手紙 2017 No.129

マリちゃんがロンドンの実家に帰り、祖母のサマーハウスには私とヒロシとはるちゃんだけになりました。

マリちゃんは家の中にいるときはスポーツブラとショートパンツ姿で過ごしていて、たまにパンツ一丁の時もありはるちゃんがよく「痴女ルックやん!そんな暑くないんだしTシャツくらい来た方がいい」と注意していました。マリちゃんはオンオフの差がすごく激しくて外食に行くときは誰よりも時間をかけておめかししてすごく可愛い服を着て行ったり、お仕事のときはジーパンにポロシャツのいつも東京にいる時と同じ感じで、家にいるときはパンツ一丁の時だってありました。

でもマリちゃんにも主張があって「いやいやはるちゃんこそもっとリラックスしたらいいじゃない!家の中にいてもよそ行きの感じでは休まらないじゃん!夏休みのバイト終わりのお風呂上がり、これ以上リラックスが許される時間無いじゃん!」と反論していました。

マリちゃんは議論が好きで弁が立つ子です。はるちゃんとたまに色々あーだこーだ話す時があって二人の勝敗はお互い大体五分五分です。

はるちゃんは結構気ぃ使いで神経質であり律儀な子です。

二人が喧嘩をした時に、はるちゃんはマリちゃんをポジティブ天然モンスターと呼び、マリちゃんははるちゃんを生活指導のっぽと呼んでいます。

ただ二人は喧嘩のあとよく勉強になった、と笑って終わること多いです。笑。

こないだマリちゃんが私に「そろそろ私の方がうめちゃんより日本語上手になるな!うめちゃんどもりすぎじゃん落ち着け!」と笑いながら言うとはるちゃんは「吃音の人にそれを指摘したらダメだよ!思ったことすぐ口にだすなぁマリちゃんは」と注意していたのです…私は別にどもってしまう事を最近はそれほど悩まなくなってきたのですが友達は気を使っていたようです。

ただこの日のはるちゃんの弁は冴え渡っていました、こんな感じでした…

「マリちゃんの日本語はめちゃくちゃ上手になってきたけど、マリちゃんはそもそも天然ボケすぎて話の4割くらいが意味不明な事話してんじゃん!こないだだって冷蔵庫はジュースを冷やしてくれるわけだけら逆に水をお湯にしてくれる機械を発明したら私億万長者になれるんじゃないかなぁって言ってたけど、それ電気ケトルだから!突っ込もうかと思ったけど毎日そういう事ばっかり言うから笑をこらえるのが大変なんだよ!」と鋭い指摘をしていました。

私はヒロシと洗い物をしながら二人のこの会話に耳を傾けていたのですが、今なんとなく二人のこの会話について冷静に考えてみれば私は人と話す時にどもってしまったり極度に緊張してしまうのやけれど、普通に会話ができる人同士でも結構ちぐはぐな会話をしているんやなぁと最近気づきました。

思っている以上に人間は雰囲気やノリだけで話していて、お互いなんとなくしか伝わっていない事が多いのです。すごい真面目にきちんと重要な事を順序だてて話してみたとしても話の内容が多い時は全て伝わらないのだという事にも気づきました。

はるちゃんは約束事を守るのを重視する律儀な性格な子で、物事をはっきり必要最低限な事しか会話では言いません。それがたまにきつい性格と誤解されてしまいがちです。

まだ結論には達していないのですが人と会話をする時、自分が伝えたいと思っている重要な情報以外にもふんわりと話しの雰囲気を作るような言葉を前後に入れて伝えたい情報をサンドイッチして話す事が人と潤滑にコミュニケーションを取る上で必要なのかなぁなんてぼんやり最近は考えています。

マリちゃんはピンボケな会話をする事が多いのだけれどたまにすごくキレがある事言うのです。

マリちゃんが「人間は本質的には悪い人はいないからそこまで怯える必要はないと思う、ただその人がつく嘘やその人が持ってる欲の奥にある物を見抜く必要があると私は思う。なぜ嘘をつくのか、なぜ欲を持つのか、そうすれば悪い人と対峙した時にも正しい振る舞いができると私は思っている」と以前私達に言った時は私はすごく考えさせられました。

ふと学校の授業で習ったピューリタン革命とかの話も思い出したり、色々考えさせられた夜でした。

マリちゃんのポジティブさも必要やけれど時に危険かもと思うし、はるちゃんの慎重なところはいいと思うのだけれどそれだけでもダメだというマリちゃんの主張も分かる気がしたのです。

うめこ

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