うめちゃんからの手紙 2018 No.123 歌子には歯があるが、スッポンには歯がない。

うめちゃんからの手紙 2018 No.123

ヒロシに噛み付く歌子ちゃんと見守るうめちゃん。

うめちゃんからの手紙 2018 No.123

今日学校の後にアルバイト先に向かって歩いていると後ろからいきなり肩を掴まれすごくびっくりさせられる事がありました。
振り返ってみたところ、常連客の奈々さんでした。
ニューハーフの方なのですが、びっくりするくらい美人で初めて見た時に他の常連さんからモデルの〇〇さんのお姉さんだよと紹介され騙されたこともありました。
すごく綺麗な人やのに声は地声のままでギャップが面白い。
奈々さんがおっしゃるには私を少し離れたところから目撃しずっと私の事を呼んでくださっていたみたいなのですが私が全く気付かなかったようで追いついてから肩を掴んだのだそうです。

というのもですよ、私を呼んだと奈々さんは主張してはったのですがずっと「おーい!リーダー!おーい!こっちー!」と叫んでいたからです。
元をただせば全てはるちゃんが悪い。
普通に街中でリーダーと呼ばれている人がいるとすれば、ほとんどが会社の仲間同士か工事現場の班長、あと数パーセントがお笑いグループかバンドメンバーなどではないでしょうか。
なかなか同級生や年下をリーダーと呼ぶパターンはないのでは?
けれどポリティカリィコレクトネスを突き詰めていけば女の私がリーダーと呼ばれること自体も正しく間違いではありません。
私はバイト先でもリーダーですし、学校のグループ分けでも確かに毎回リーダーなので、文法的には100%正しいのですが...

はるちゃんが私の事をリーダーとバイト先でも学校でも呼ぶものやから、同級生はもちろん職場のマスターから常連さんまで、みんなが私の事をリーダーと呼ぶのです。(でもこれにも踏み絵的効果があり、中があまり良くない子は西秋さんとかはるちゃんといつも一緒にいるチビと私を呼ぶので、これはこれでいいのかもしれません。)
勘弁してくれよと思ったのが、はるちゃんと時々利用する飲食店でもはるちゃんは「じゃぁ今日は私もリーダーと同じメニューで!」と注文し、顔なじみの店員さんもノリが良く「じゃぁリーダーと同じセットかける2ですねー」と復唱し、そのまま厨房にもリーダーセット2でー注文を通していた時にはびっくりしました。
私がいつも同じものを頼んでいるので、からかわれているのかもしれません。
私とはるちゃんが行動を共にするとドタバタが発生することが多く店員さんに一瞬で顔を覚えられてしまいがちなのです。
先々週は千円札を入れラーメンを一つ頼んだだけなのになぜか食券機からお札が出てきてお釣りが多く支払われ、店員さんが何人もわらわら出てきてパニックになったことがありました。
私が悪い事をしたわけではないのに私がいたずらしたみたいに一部の人には映っていたのではないかと思うと少し悲しい。
以前にもあったトラブルなのか、店員さんも慣れた手つきで食券機の履歴をレシートの印字機から全てプリントし、その場で電卓を弾き私が貰いすぎたお釣りを返却し無事に丸く収まりました。

考えてみると私の父は画伯と呼ばれ、祖母は先生と呼ばれていて、私の家族はなかなかあだ名や愛称、そして本名で呼んでもらえている人間が少ないようにも思えます。
母は名前のままももちゃん、たまえおばちゃんもそのままたまちゃんと人から呼ばれています。
私をあだ名で呼んでくれとは言いませんがここは統一してうめちゃんでお願いしたいところ。
まぁそこまでは怒っていません。

今日は少しだけアルバイトが早く終わりいつもより早く家に帰ってこられました。
リビングでヒロシと一緒に双子の歌子ちゃんと文子ちゃんと夕ご飯の時間まで遊びました。
歌子ちゃんと文子ちゃんは双子なので見た目は似ていますが性格が異なり、それぞれに個性があり見ていてとても面白いです。
振り返ってみると歌子ちゃんの食欲はお食い初めの頃から凄かったように思います。
お食い初めは生後100日~120日目頃にする行事で、一般的には鯛などを保護者が食べさせるふりをする行事で、実際には食べさせない儀式のようなものを行い将来赤ちゃんが食べる事に困らないように願いを込めるお祝い事です。
ところが歌子ちゃんはがしりと両手で鯛をつかみつかみ実際に食べようとしたそうで家族もはじめおじさんのご両親も大慌てでした。
そのあとみんなが遠ざけたそうですが今度はたまえおばちゃんの指に食らいつきすっぽんのように吸い付き離しませんでした。
ちょっと前から歌子ちゃんと文子ちゃんにも乳歯が生えてきました。
歯が生え始めたことで疼くのか歌子ちゃんはしょっちゅうヒロシの耳にかじりつこうとします。
私も指をかじられたことがあるのですが予想外に強い顎の力でびっくりさせられました。
すっぽんからカミツキガメに進化したのやとたまえおばちゃんは大爆笑していましたが、授乳も大変ではないかと私は心配になりました。
文子ちゃんも元気いっぱいですがカミツキガメとまではいきません。
猫が人間に噛み付いたりする話はよく聞きますが逆はなかなかないのではないでしょうか。

ヒロシが赤ちゃんや年下の猫を叱っているところは見たことがなく、怒っている姿が想像できません。
そんな心が広いヒロシなのですが雨の日にまっちゃんの家にベビーシッターに行った時は本当に大変だったとぼやいていました。
その日のヒロシはまっちゃんと4時間ぶっ続けで仮面ライダーの録画を正座で見させられ、ベビーシッターの時間が終わる前にきちんとお話の内容を覚えているかテストを受けさせられたのだと言っていました。
他人事なので笑ってしまいましたが、実にまっちゃんらしいなぁとも思いました。
子供のこだわりのような、正確さへの要求にたじろぐことは多々あります。
私もまっちゃんと鉄道のお話をしていて不正確な名前で呼んだり、ディーゼル車の場合にうっかりと電車と呼んでしまった場合などもこっぴどく叱られたことがありました。

今日の始まりの私がリーダーと呼ばれている件、まっちゃんに相談するべきだったかもしれませんね。
まっちゃんはいつも私の事をうめちゃんと呼んでくれます。

私の呼び名、いとこの成長、そしてまっちゃんのこだわりのお話でした。

うめこ


今日の一枚

Nikon FG FUJI /SPERIA PREMIUM / 50mm Ai F1.4


今日の一曲

黒木渚 「骨」 MV

黒木渚 – 骨 


今日の一冊

Kindleヴァージョンを注文しました。
楽しみだな。

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