絵画教室でデッサンに集中するうめちゃん。
うめちゃんからの手紙 2018 No.079
日曜日は週によっては家庭教師の田中さんと絵画教室の二つの予定が入っているのでとても忙しいのですが、この充足感が大好きです。
濃密な日曜日になればなるほど良い一週間のスタートが切れる気もしています。
絵画教室はほぼ毎週入っていますが時々お休みもあります。
田中さんの家庭教師も日曜と月曜が入れ替わる日が時々あります。
今日は両方の予定が入っている日でした。
相変わらずデッサンを一生懸命続けているのですが1mmも上手になっている気がしません。
恥ずかしながら少しだけ泣き出しそうになりました。
同じ日に来ている中学二年生の男の子がいるのですがとても上手で、こっそりチラチラ彼の描く姿を観察しています。
観察をしても私と何か特別変わった事をしている様子は無いのですが圧倒的に上手で、中学二年生とは思えないような緻密でバランスのとれたエコルシェまで描いています。
私の身内のヒロシもめちゃくちゃ絵が上手なのですが、彼らは私よりも年下なのにすでにプロ級にうまいので羨ましいなぁと思ってしまいます。
でも彼らは私の何百倍、いや何万倍以上に何度も繰り返し絵を描いてきていると思うので悔しがるという私の気持ちは間違っているのだと思います。
私ははっきり言えばド下手です。
それでも上手になりたいという気持ちは強くあります。
なんとなく私の気持ちを察したのか先生が話しかけてくださり、
「そんなにすぐ上手になられたら僕の商売あがったりじゃないか。それに中々上手にならないってことは他の人より長い間飽きる事なく練習が楽しめていいじゃないか！下手な期間が一番楽しいからね。下手な期間が長いほど幸せなんだよ。」とすごくポジティブな事をおっしゃってくださりました。
聞いていて少し照れてしまいましたが、なるほどと腑に落ちる考え方です。
私は写真を撮る事も絵を描く事も両方共とても好きです。
写真も母からもらった一流のカメラを使っているにもかかわらず泣けるほどド下手です。
でも考えてみれば写真も絵を描く事も明日でも５０年後でも変わらずに私は楽しめそうな気はします。
お金や体力が特別必要とされるわけでは無いので下手でも両方共ずっと続けたいなと思っています。
先生が有名なダビンチでもその当時読んでいた本の影響を強く受けていた時期があったり、デッサンが狂っていたり、人間ではなく牛の内蔵を代わりに描いていたり、時には物理の勉強をしてみたりと色々なアプローチや読書を本当に大切に続けてきた努力の人なのだと教えてくださりました。
私の目にはダビンチの絵はどれも緻密で超絶技巧的をもった天才が描いたようにしか映らないのですが、先生がおっしゃるにはダビンチの絵や手稿のスケッチにも上達の過程が見られて巨匠とはいえ親近感がわき、練習や研究を続ける意義を立証してくれている存在なのだそうです。
今日も一生懸命絵を描きましたが進歩したという実感はありませんが、先生がおっしゃったことが胸に響いたのでこうして書き留めておくことにしました。
私の父が以前言っていた事も思い出しました。
父が言うには絵を描くという行為は小説を書く行為にも似ていて、自分が見聞きした言葉や風景、そして色を頭の中に蓄えていき、その蓄えの中から絵であったり小説として紡いでいくのだそうです。
絵や小説の上手下手はズバリ、上手におもしろくまじめに時に不真面目に見てくれる人や読んでくれる人に届くように適した文字や色を紡いでいけるかという事なのだと私の父は言っていました。
いっぱい絵を描く事や見る事で様々な色や形を頭の中に蓄えられるようになるのかもしれませんね。ある意味ギターのコードを覚えていくことにも似ているのかもしれません。
いつか描けるかもしれない素敵な絵のために今は貯蓄をしているのだと割り切り頑張って続けてみようと思います。
絵を描くという事も詩を書くという行為も本質的には同一なのかもしれません。
デッサンを始めた事でより絵についてだったり詩作について考える事が多くなりました。
ぱっと見て一様に見えるデッサンでも描き手の世界観や価値観、感性であったりその日の体調であったりと色々な情報が絵になって表れているのだなと少しだけ絵を見るという行為が以前にも増して楽しいものになってきた気がします。
今日は絵画教室の報告だけで終わってしまいました。
とても楽しい日曜日でしたよ。
今週も楽しい一週間にしていきますよー！
うめこ
今日の一枚
GR DIGITAL III
都内は満開です。
今日の一曲
Wilco – I’m Always In Love (Live on KEXP)
