うめちゃんからの手紙 2018 No.056 考える事をやめてはいけない。

うめちゃんからの手紙 2018 No.056

もうそろそろ鍋の季節も終わりかぁ…

うめちゃんからの手紙 2018 No.056

今年も花粉に苦しむ人が多く、例年以上に飛散している花粉やアレルゲンが増えているとおっしゃっている常連さんもいます。
私は今のところ大丈夫そうです。

すーちゃんという後輩がいるのですが、彼女と仲が悪かった複数名の同級生に停学処分が下り今週から学校に来ていないそうです。
すーちゃんに危害を加えたりいじめをしていた事が原因ではなく、学校で電子タバコを同級生と使用していた事が見つかったためだそうです。
停学処分が下ったグループの主犯格とも呼べる一年生女子は同級生に電子タバコの器具を販売していた事がばれたりと密売業者さながらの出来事が下級生達の間で起きていた様です。

今は電子タバコやそれに類するものが薬局等でビタミンが摂取できる、タバコ臭くないなどと謳われ販売されており、リップクリームや化粧品の類に似せて作られているものも多く一部高校生達の間でも流行っている様です。
一番驚いたのがパソコン等で使うUSBのメモリースティックに偽装してあるものもあるそうで、今回停学処分が下された下級生が持っていたのもその様なものだったそうです。

冷静に考えればビタミンなどが添加してある薬液に熱を加え肺から吸うことでビタミンや美容成分が吸収できると書かれているのは眉唾以外の何物でもない事は火を見るより明らかなのですが、本当に下級生達は鵜呑みにして騙されていたのでしょうか、それともタバコなどと違いディスカウントストアや一部ドラッグストアで売られているため入手性の高さから安易に興味本位や背伸びをして手を出しているのでしょうか。

私には下級生達のブームはわかりかねますが、ある意味で市場原理が凝縮されたマイクロコズム的な側面を垣間見た気がします。
情報量が少ない相手に真偽は関係なしに大量の情報でまとった商品を流行っている印象を与え売りつけていく。
どの様な商品でもいつの時代でも廃れる事はないのでしょう。
高校生以上の大人でも製品の本質を見抜けない製品を高校生に売ってしまっているお店があるという事も問題です。

考えてみればパワーストーンなどの類と同じ気がします。
最初に断っておけばパワーストーンは実在しますが、人から買った石で安易にご利益が得られる様なものは一切ありません。
言い換えれば他人からそんなにもご利益があるパワーストーンが入手できるのであれば、この世はパワーストーンであふれてしまい、街を歩いているだけでパワーストーンの力に被曝しているという事になり、それこそ住宅などの建材にも石は含まれているわけで、人が生活をしていく事が困難になるわけです。
冷静に考えてみればわかる事なのですが、人間は怠惰なのでお気軽にパワーをゲットしたい!といったところなのでしょうね。
極端な話、ジーパンのポケットにいつまでも入っている川原の砂利小石の方がよっぽどパワーがこもっているのではないでしょうか。
パワーストーンは買うものではなく自分で作るものであって、ご利益を貰うものではないのです。
山に旅行に行きそこで拾った綺麗な小石、そういうものを大事に思い出のモノとして愛でていったものが時間経過とともにパワーストーンになると思います。
その様なパワーストーンは悪いエネルギーを吸収して最後には割れたり、どこかに消えたりするのでしょう。
子供の頃から大事にしていた人形がいつの間にか身代わり人形になり、身に降りかかるはずだった災厄を代わりに受け止めてくれるやつです。

キリスト教をはじめ仏教などでも人間の罪や罪源の考え方があるのはご存知だと思いますが…
「暴食」、「色欲」、「強欲」、「憂鬱」、「憤怒」、「怠惰」、「虚飾」、「傲慢」
街を歩いてみたり、雑誌、インターネットの広告などに目を向けてみると、上記の人間が誰しも持っている罪源につけ入りお金を稼いでいる人が多い様に思えます。
ただ面白いのが一つの悪が台頭すると間髪いれずに新しい悪が生まれます、新しく生まれた悪も最初は正義を語り既存の悪を淘汰し市場なり思想を書き換えていく様にうつります。
この様なサイクルが無間地獄の様に繰り返されているのです。
悲観的な事を書いてしまいました。

世界の貧困や戦争は過去に比べ毎年減っていっているそうです。
と言われても…体感的には社会は良くなっていないという実感もあります。

はっと気づくのがこの悲観的感情、身の回りがディストピアに向かっていると感じてしまうこの状況自体も七つの大罪でいうところの「憂鬱」や「傲慢」に他ならないのです。

でも耳と目を閉じ口を噤んでいるのもダメなのです。
それも怠惰に他ならないからです。
以前、ヴィヴィアンウェストウッドの活動を紹介しました
それは3つの悪と戦わなければいけないというものでした。

* ORGANISED LYING.  / 組織された嘘
* NON-STOP DISTRACTION. / 絶え間のない混乱
* NATIONALISTIC IDOLATRY /宗教に取って代わった国家への盲目的信仰

見渡してみれば私たちの生きる現代は、コングロマット企業が肥え太り、大国による地球人類総監視時代に突入した様にさえ思え
ディストピアに暮らしている様な恐怖心を感じる事も少なからずあります。

こんな時だからこそ私は杜甫(とほ)作の春望」(しゅんぼう)を思い出し、考えたいのです。

国 破 山 河 在
城 春 草 木 深
感 時 花 濺 涙
恨 別 鳥 驚 心

烽 火 連 三 月
家 書 抵 万 金
白 頭 掻 更 短
渾 欲 不 勝 簪

捻くれた事をいえば、人間の手によって取り返しがつかないほどに自然は破壊され山は切り崩され形を変え、川の流れさえもかわり、季節まであやふやになってしまっているのも事実です…
でも逆説的に言えば杜甫が長安に幽閉されていた時代から人間は成長せず同じ事を繰り返しているのです。
すごくネガティブな私ここに極まりといった事を書くならば、どの様な悪の支配もさらなる悪によって終りを告げる日は必ず来るのです。

悪に対峙した時に悪ではなく正しい心をもって戦うことは難しい事ではないと信じています。
それは一番最初にしなければいけない事であり最後まで続けなければいけない”考える”ということです。

資本主義社会を生きる私たちにできる事は1円1銭でもどのように使われ社会に流れていくかを考えるのです。
一円でも人は死ぬし生きるのです。
考える事をやめてはいけないのです。

うめこ


今日の一枚

東京の路地。

LEICA M10 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.


今日の一曲

Alice – 冬の稲妻

Alice – 冬の稲妻


今日の一冊

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