うめちゃんからの手紙 2018 No.052 亀の甲より年の劫、もしくは業。

うめちゃんからの手紙 2018 No.052

仕事に向かうマリーちゃん。

うめちゃんからの手紙 2018 No.052

今日は学校からアルバイトに向かう最中に凄く腹が立つことがありました。
後ろから走ってきた自転車のおばあさんに激突され転んでしまったのです。
幸い怪我や携行品の破損などはなかったのですが、精神的に大ダメージを負ってしまいました。
誰にでも間違えることやうっかり人にぶつかってしまうことあると思うのです、だから私も大丈夫ですよとぶつかってきたおばあさんに声をかけたところ…

「あなたは若いんだから自転車が来たらすぐにどきなさいよ!」となぜか怒号を浴びせられ、周囲の人に私が悪かったような印象を植え付けるように振る舞ったのです。

近くでタバコを吸っていた大学生のお兄さんが顛末を全て見ていてくださり「ひどいばばぁだったねぇ、君は悪くなかったのに」と声をかけてくださったので幾分救われた気はしたのですが、なんとも強烈な老婆に遭遇してしまったのでした。

都内で生活していると、朝爆走していくゴミ清掃車と交通ルールの悪い自転車というのは時に恐怖の対象になります。
ベビーシッターのアルバイトをしている時にまっちゃんと歩いていて、何度もヒヤリとすることがありました。
前から来る分には私も気をつけようがあるのですが背後から音も立てずにとても幅が広い電動自転車で迫ってこられることが頻繁にあり、怖いなと常々思っています。

好々爺の意味するような、亀の甲より年の劫、徳を積んだ優しい老人ばかりではないというのはわかっているのですが、都内で生活していて余裕がない老人をよく見かけます。
電車内でのマナーが悪い人、前述のように自転車や自動車などの乗り物でトラブルを起こす人、飲食店などで騒ぎ始める方…このような方達は決まって自分たちより若い人たちに我慢を強いるように強要し声を荒げるパターンが多い気がします。
社会情勢のせいなのでしょうか、生活にゆとりがないからでしょうか、家庭での窮屈さやフラストレーションを世間で発散しているのでしょうか…私にはわかりませんが、自分もあの様にははなりたくないなと強く思ったのでした。
私が出会ってきた強烈なご老人たちも元々あのようなモンスター的振る舞いを若い頃からしてきた人ばかりではない気もします、何かがきっかけで変わってしまった人や、緩やかに心の柔軟性を失っていったのかもしれません。

私のはとこのマリーちゃんはティールームでアルバイトをしています。
イギリスのお茶会に参加しているような雰囲気を味わえるというのがもっぱらの評判のお店で、私の働くカフェ以上に独特な空間です。
カフェ内での電子機器の使用、スマホでの撮影はすべて禁じられています。
月一のペースで開かれているお茶会の時に限り撮影が可能になっていて、とにかくお茶を飲みながらゆっくりと過ごしたいというお客様だけにサービスを提供しているお店です。
(ちなみにマリーちゃんのお店以上に強い個性のお店も都内にはあり、そこは何と私語厳禁の喫茶店です。)
びっくりするくらい回転率が悪いのですが、私の職場に比べ客単価がとても高く常連さんとリピーター率がとても高いようです。
最も安いケーキセットでも2000円以上はしています。
ポットで振舞われるお茶は4杯ほど飲めるので特別割高というわけでもないようですし、セットのケーキで出されるものは全てオーガニック材料でその日に焼かれたものだけが使われてるので適正価格ともいえます。
マリーちゃんのお店はこのような個性と価格でお客様の振るい分けが行われていて、20代後半から40代までの女性を中心に集客しているようです。
マリーちゃんのお店の平均的な常連さんは月に1〜2度仲の良い友達同士誘い合い、3〜5時間ゆったりと話し込むためにいらっしゃっているそうです。
女性客が8割を占めるためトイレの個室が3室もあり、加えてパウダールームも設置されているというのも素晴らしいです。(もう一つ驚いたのが高級フランス料理店の様に洗面台の横にはペーパータオルではなく柔らかい布タオルが積み上げられていたことです。)
営業日数も勤務時間も私のアルバイト先よりも短いのですがドレスコードやお店の雰囲気を崩さないための立ち振る舞いや話し方指導などもあり、お給料はとても良いけれど疲れる職場だとマリーちゃんは言っていました。
それでもここで勤めていた方たちはオーナーの女性に推薦状を書いていただけるそうで、後の就職にも有利になるのだそうです。

私の職場はコーヒー以外の軽食やケーキも提供していますが、1杯のコーヒーで長くても30分から45分くらいで職場に戻って行かれるお客様が6割くらいと、マリーちゃんのお店に比べれば回転率は高めです。
その他のお客様は仲の良い他のお客様に会いに来たり、私やはるちゃんやマスターと話すためにいらっしゃる方達です。
一見のお客様はマリーちゃんの職場同様少なめです。
キンちゃんという最古参でカフェもお世話になっている姉御肌的常連のお客様がいて、キンちゃんに相談事があるお客様は2時間以上話し込んでいたりもします。
元々コーヒーの輸入焙煎と卸、エスプレマシーンなどの納入とメンテナンスを本業としている会社で、カフェ部門はマスターの趣味といったスタンスで赤字を出さないことを目標にゆったりと営業しているとおっしゃっています。
お店で販売している豆やエスプレマシーンなどのショールームも兼ねており、新規開業されるカフェオーナー様を対象にコンサルティング業も時々されているので、カフェ部門も実はとても大事です。

ネットの良し悪しの評判というのはそれぞれあてにならず、よっぽど腹を立てたお客様やとても感動してくださったお客様など大きなモチベーションを持っている方しか書き込まないことが多いそうで、”そこそこ気に入った!”というお客様や、”わるくないねぇ!”という方、単に口コミを書くのがめんどくさいという方もとても多いのが実情です。
焙煎した豆をネットなどで販売するだけではなく、お客様からのフィードバックを直接聞けるのがとても大切なのでしょう。

好々爺という、優しく微笑む善人な老人を指す言葉があるくらい老人は無害という一般認識は少なからずあります。
ただ老人、老という言葉を若い私達が勝手につけているだけで当の本人たちも一個人、私たちと何ら変わらない人に変わりないと思っているはずです。
怒りの矛先を他人に向けることもあれば、若い時から精神的に成長しない人もいるわけです。
感情や心は変わらないのに体がついていかなかったり、世間から求められている事と自己のギャップにフラストレーションを覚える事もあるのでしょう。
私が勝手に老人は皆人畜無害で優しいものだと思っていた節も反省しなければいけません。
私たちと別の生き物ではないからです、ただ勝手に老とつけているだけで…

街に見るお年寄りと職場の客層について考えた日でした。

うめこ


今日の一枚

屋形船

LEICA M10 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.


今日の一曲

ポケットビスケッツ『yellow yellow happy』

ポケットビスケッツ-Yellow Yellow Happy


今日の一冊

絵が好きで買ってみたら大正解でした。結構エグいけれど読み進めてしまいます。

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