うめちゃんからの手紙 2018 No.024
まっちゃんからまっちゃんが書いた詩集をもらい、読み終えてから色々と考えることがありました。
まっちゃんは大阪出身の女の子で、ヒロシがベビーシッターをさせていただいている今年で5歳になる女の子です。
5歳とあえて書いたのは、まっちゃんを語る上でその年齢はあまり関係なく、けれどとても大事だからです。
まっちゃんには何度も面喰らう言葉を私自身も言われたことがあり他人事とは思えないのですが、まっちゃんは以前常連客の出版社に務めてらっしゃる他の女性客の方を泣かせた事がありました。
まっちゃんの凄さと弱さは5歳という年齢に詰まっていると言っても過言ではないのです。
その日もまっちゃんの詩作を出版社のお姉さんに見せ最新作について語り合っていたのですが、珍しくまっちゃんが激昂しお姉さんに何かを言ったかと思ったら突然お姉さんが泣き出してしまったのでした。
もう一度断っておくとこのお姉さんもしっかりとした方で口喧嘩では負けるようなタイプの方だとは思わないのですが、まっちゃんの言葉は5歳児であるがゆえに純粋で、むき出しの核燃料棒のようで一言でも膨張、爆発させるような暴力性を持っているのです。圧倒的な言葉選びのセンスを持っているのです。
まっちゃんの発する言葉は決して下品な言葉や人の心を傷つけるような言葉を一切発しないのに心を抉る事がありその怖さが一段階人よりも上なのです。
まっちゃんは5歳児なのですが書く詩にも身体性、社会との関わり方、まっちゃんなりのフェミニズム論、社会批判のようなものが現れています。
私たちが大人になる上で”綺麗事ばかりじゃすまされない”と妥協してしまったようなことをまっちゃんは子供だからゆえに認めていないのです。
でもはっきりと私たちはまっちゃんの書く言葉こそ正義で本来あるべきことなのであろうなと気づいてしまうから苦しいのかもしれません。
まっちゃんなりの幸福論みたいなものを書いた詩が私に強く刺さりました
巷にあふれるエンターテイメントは恋愛の歌にしてもお笑いにしても年々女性とは男性とはなどの性別と身体性をより意識することが年々増えているような気がするのです。
人を好きになるという気持ちは年齢、性別や人種、国籍、関係なく芽生える感情だとおもうのですが、年齢を重ねるとやたらとしがらみや解釈や思想がそこにつけこんでくることへの危機感があります。(もしくは私自身が大人になるにつれ余計に意識し始めただけかもしれません。)
一見して平等や国境の意識が薄らいで人類愛のようなことを唱える人が増えたと錯覚しがちな社会をまっちゃんはきちんと冷静にまだそこには区別があること、差別があること、そして小さな体で未就学児でも”おんな”だからと社会に扱われていることをしっかりと認識しているのです。
まっちゃんが書いた「かわいければいいじゃないか、かわいいこともおしごとだ」という詩があります。
何歳でも可愛い猫を見た時にキュンとするのに、年齢を重ねると、こと人間相手だと好きという気持ちが芽生えても急に他の情報がどっと続いて押し寄せてきて最初に芽生えた気持ちを曇らせるのです。
まっちゃんは人相手でも猫相手でも、文字でしか登場しない人物にも等しく愛すことができるのです。
喜怒哀楽に解釈を加えたらだめやろうというのがまっちゃんなのです。
人種に限らず猫にまで毛並みや品種で優劣を語ったりする事で区別をつくることにまっちゃんが警鐘を鳴らしている詩です。
まっちゃんは戦隊アクション物や電車が好きだということで男みたいな趣味だと散々人から言われているみたいで、既にフラストレーションを感じる日々に突入してしまっているのでしょう。
小学校に上がり成長するにつれ、より社会からの外圧、そして身体性をより意識していくことが増えると思うのです。
このハザマにいるまっちゃんがかわいそうでもあり、儚くもあり、そして小学校にあがったらどう変わってしまうのだろうかと興味もあるのです。
私はまっちゃんの才能や能力が受け入れられいくつになっても電車や戦隊ものが好きなことを許される社会、まっちゃんがその時々に興味があることを知り学べる社会であってほしいなと思います。
まっちゃんの言葉を忌避する事なく暖かく、時には泣かされながらも見守って、からかってくれるあの常連のお姉さんにも感謝したい。
まっちゃんも大人になったときに自分が鳴かせてしまったお姉さんの事を思い出しすごく恥ずかしく感じたり感謝したり、自分に重ねて見る日が来るのかもしれません。
元も子もないまとめ方になってしまうけれど、まっちゃんがいちばん熱く私たちに伝えたいのは理屈っぽくなってはあかん!という事だと思います。自分が好きならそれでいい、理屈はいらない。これに尽きるのです。
うめこ
今日の一枚
今日の一曲
My Bloody Valentine-Strawberry Wine
今日の一冊
忘れずに買えました。