うめちゃんからの手紙 2019 No.118 地に足をついて暮らす。

うめちゃんからの手紙 2019 No.118

カメラとお散歩が好きな魔女、うめちゃん。

うめちゃんからの手紙 2019 No.118

ロンドンでMonmouth Coffeeに立ち寄るついでにAesopのバラ・マーケット店に立ち寄ってきました。
Aesopの製品にはゼラニウムが使われているものが色々あり、私はその香りが好きなので時々買っています。
今回はボディクレンザーを買いました。
中学生頃に祖母と来た事があったのですが、私の記憶が正しければその当時は日本人の美大生だったか美大を卒業したばかりのフォトグラファーの女性が働いてらしたと記憶しています。

今朝は仕事を終えた後厩舎のソファーで仮眠を取っていると田中さんが遊びにいらっしゃり起こされました。
起こされましたと書くと変な感じですが、田中さんの仕事が終わった頃に厩舎にいらしてくださいと待ち合わせをしていました。
田中さんが忙しいと思いそんなにすぐは来ないだろうなと思っていたのですが、さすがに田中さんは仕事が早く、思ったよりは眠れませんでした。
朝4時から厩舎の仕事をしていたので眠気は残っていましたが、田中さんのほうきの練習に付き合いました。
昨年は私の祖母が田中さんにほうきで飛べるようコーチをしていたのですが、今年は私がコーチをしています。
魔女や魔法使いにとっては定番で一番大事な技術でアイデンティティでもあるので、人によっては一番最初に習う技術なのですが、実は明文化された書物やノウハウはほとんど無いに等しいのがほうきの飛行術です。
自転車の乗り方の本はあれど、それらはロードバイクであったりマウンテンバイクといった専門性のより高い書物で、ママチャリの乗り方に特化した本をあまり見かけないのに似ています。
日本とその他の国、日本国内においても東京と京都ではほうきへのアプローチが大きく異なります。

魔女によっては重力をほうきで払うイメージで飛ぶと教える方もいらっしゃいますし、ほうきを馬に見立てほうきが動き出しそれにまたがるイメージで乗りなさいと教える人もいます。
田中さんは去年の一夏ずっとほうきで飛ぶ練習をしていたのである程度は飛べるようになったのですが、時速7〜8ノットとあまりスピードが伸びませんでした。
ほうきでスピードを出して飛ぶと重力の感覚が希薄になり、天球の感覚が狂います。
スピードが上がれば上がるほど空と地面の感覚がわからなくなってしまうのです。
不安定な地球ゴマのような感じで空中で回り続け止まらなくなってしまう事故が時々あり、ほうきでの飛行は気が抜けません。

田中さんは自転車に乗る事ができないので、もう自転車に乗るのは諦めてせめてほうきで自転車以上のスピードで乗れるようになるのが当面の目標です。
国際法上、ほうきでの飛行スピードはノットで表されます。
飛行機や船舶と同じです。
ほうきの後ろにロープを垂らし一定間隔ごとに赤いリボンをそのロープに結びつけ飛行スピードを計測したのが始まりで、船舶のスピード計測の由来と似ています。

そんなわけでここ数日、田中さんの飛行練習に付き合っています。
乗馬のインストラクターなんやからほうきも教えられるやろと言われ指導させていただいているのですが、乗馬とは全く感覚が異なります。
どちらも正しく乗らなければ危険です。
馬は失敗すれば落馬して地面に戻る事ができますが、ほうきですと降りられなくなり宙に浮いたままどうしようもなくなってしまう人も時々いるので大変です。

ほうきで空を飛ぶというのは物理法則に矛盾した行為ですが、ほうきで地上に降りられなくなった時に日頃当たり前にある重力のありがたみに魔女は気づくのです。

地に足をついて暮らすのも悪くないものです。
なんちゃって。

うめこ


今日の一枚

EOS 6D / EF24-70mm F4L IS USM

EOS 6D / EF24-70mm F4L IS USM


今日の一曲

Gilbert O'Sullivan – Alone Again (Naturally)

Gilbert O’Sullivan – Alone Again


今日の一冊

ぐるぐるてくてく 2巻 / 帯屋ミドリ (著)

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