休日のうめちゃん。頭と足を冷やしてはダメですからニット帽は必需品です。
うめちゃんからの手紙 2018 No.208
今日も昨日に引き続きはるちゃんと美術鑑賞をしてきました。
昨日は東京都写真美術館で写真作品を、本日は秋葉原のヨドバシカメラの近くにある海老原商店さんというとても素敵な建物で開催されていた大好きな長井朋子さんの個展を見てきました。
はとこのマリーちゃんも誘いましたがプライベートな用事があると言っていたので一人ディズニーかラーメン屋さん巡りの予定が入っていたのでしょう。
今日ははるちゃんが電車でやって来るというので馬喰町駅で待ち合わせました。
横浜駅から馬喰町駅まで一本、そして馬喰横山から都営新宿線で岩本町まで一駅。
1時間もかからずにはるちゃんの横浜の家から神田まで出てこれるのですから便利です。
京浜東北線で秋葉原か神田で待ち合わせでも良いよと伝えたのですが、総武横須賀線の方がはるちゃんの統計では座れる確率が高いのと秋葉原駅は人が多く利用しにくいから馬喰町駅で待ち合わせの方が良かったのだそうです。
他にも京急で東日本橋まで出て来て駅構内を歩いて馬喰横山まで行き都営新宿線に乗り換えると言う方法もありますしバラエティに富みますね。
東京横浜間の移動はこだわりだすと色々楽しさが見出せそうなほど奥が深そうです。
この辺りは友達の電車にとにかく詳しい幼稚園児まっちゃんに聞いて見たら面白い意見が聞けそうです。
待ち合わせ場所に着くとはるちゃんがかなり不機嫌な様子でどうしたのかと訪ねました。
するとはるちゃんの愛用の自転車がマンションの駐輪場で何者かに大変不便な場所に移動されていたのだそうです。
はるちゃんは愛用の自転車に触られ勝手に移動されることがこの世で許せないことトップ３に入ると憤慨していました。
普通に生きていれば自転車が移動されることより嫌な事、それこそ電車で来たわけですから痴漢もいるかもしれませんし背負っているリュックをぶつけて来る人や足を踏んづける人だっているのでは？と私は思ったのですが、はるちゃんが言うには…
「犯人がわからないという事ほど気持ち悪いことはないのよ！例えば強盗だって痴漢だって悪い男の顔は見れるから警察なりに風貌を伝えることができるし、何より被害届が出せるじゃない？けれど、学校のいじめとかで悪口が書かれた手紙が下駄箱に入っていたり、物を隠されたり、そしてマンションで顔も知らない相手に持ち物を移動されるって…顔が見えないじゃない！同じマンションに住んでて、同じ学校に通ってて、同じ組織や建物に住んでいるのに顔がわからない人に嫌なことされるって事ほど腹立たしいことはないと私は思うわけ！」ととても早口で怒っていました。
なるほどなとも思いました。
怒りの矛先を向ける相手が明確な場合、それでもとても悔しいですし悲しいですが、最終的に法権力に相談したり被害届を出すと言うアクションが起こせますが、正体不明の人間からの行為に対してはもやもやとしたしこりがいつまでも残り腹立たしさに加え気持ち悪さも残るからタチが悪いのかもしれないなと思いました。
私が１つはるちゃんに言えたのは、はるちゃんの自転車を勝手に移動した人は遅かれ早かれ日常生活でまた別のトラブルに遭遇するであろうということです。
公共心がない人、他人の不便や悲しみに対しての想像力が足りない人はどうしても負の感情を持ったに他人とのトラブルを引き寄せがちです。
日常でよく起きることに置き換え例えることができます。
道を歩いていても絶対に道を譲らない！人に道を開けたら負けだ！とぐらいに思っている人が多くいます。
このような人は反対から来た”同じ思想”の人とぶつかり、お互いの心を傷つけあい、腹を立てなくてもよかったことに腹を立て余計人間的にもつまらない人へと成長してしまうと私は思うのです。
腹を立てても腹の足しにはなりません…お昼ご飯の前に長井朋子さんの作品を見に行く予定でしたが先にお昼ご飯を食べながらはるちゃんの愚痴を聞き1時間弱お互いに心を鎮めるのに充てました。
さて本日のメーンイベントの長井朋子さんの個展です。
最終日に来たという気合の足りなさで私がいいなと思った作品やはるちゃんがいいなと思った作品はすでに売約済みのシールが貼られていました。
買えなかったことは悔しいですが自分の好きな作家さんの作品が人気で色々な人に愛されているのだと一発でわかるので、これも気持ちがいいものです。
はるちゃんが一階から二階に上がるときに頭をぶつけ悶絶していて、また機嫌を損ねてしまわないかすこしだけヒヤリとしましたが、187cmは伊達ではなく、これくらいではへこたれません、笑いながらため息をつき、二階の作品の鑑賞に移りました。
古いタンスを一棹まるまるつかって、中に額装した可愛らしい作品が詰め込んでありました。
古いタンスというオブジェ自体がどこかワクワク感を増長させたり、何か怖いものが入っているのではないか？という緊張感を想起させるような、そんな存在だと思うのですが、ちらりちらりと長井さんのワールドが溢れていて、瞬時にあぁこれはワクワクが詰まったタンスなのだと教えてくれたのでした。
その他にも展示に知恵が凝らされていて、鳥やクマなど森の動物たちがインスタレーションという形で海老原商店さんの建物内に”潜んで”いて本当に私たちを楽しませてくれました。
十分な鑑賞時間をとったにもかかわらずもしかしたら見逃している長井さんからの挑戦状的仕掛けがあるのかもしれないとちょっぴり不安にもなったりしました。笑
前回長井朋子さんにお会いした時は天下一品のラーメン鉢のお話を父がしていたのですが、今回は群馬に本店がある花山うどんさんの器の話を私がしました…笑
個展の会場に夜８時までいなければいけない長井さんに食べ物の話をしてしまったのは空気が読めていなかったなと下宿に帰ってきてから猛省したのですが、花山うどんさんの狸の器が可愛くて欲しいと思うけれど買い方がわからないという話題で盛り上がってしまいました。
実は会場内にもぐらのクルテクの本が置かれていて、前々から気づいていたのですが私を含め私の家族と長井さんの好きなものが時折オーバラップする箇所があるなと思いました。
（もぐらのクルテクは私もめちゃくちゃ大好きで浅草にあるチェドックさんという有名な雑貨屋さんまで会いに行ったことがありました。）
日々あなたに手紙を書くにあたり私は心がけていることがあります。
辛いことや嬉しいこと、喜怒哀楽の爆発がミクロのレベルから銀河級まで大小問わず常に私の生活では起きています。
友達のはるちゃんの事、はとこのマリーちゃんの事、職場の人、様々な人間関係に辟易し思うことに疲れ、あぁ溶けてアメーバ人間になり土の養分になってしまいたいと思う晩も時々あります。
けれどできるだけ楽しかったことはしっかりと書き残しておこうと努めています。
私の予想に過ぎないのですが、すごく辛い事がいっぱい起きたとしても遅かれ早かれ楽しい事も等数起こっていると信じているのです。
そして私を含め人間は総じてどうしても悲しいことや痛かったことの方が克明な記憶として残っていく傾向が強いと思うのです。
これは決して私がポジティブ信仰を推奨しているわけではありません。
感謝の気持ちや喜びといったポジティブな感情こそ意外とデリケートで大事にしなければいけないと私は伝えたいのです。
子供の頃、土曜の水曜教室の後に食べた父が作ってくれたお昼ご飯がすごく美味しくて、なんでこんなにもたくさん自分の体に美味しいものが入っていくのだろう？もしかしたら細胞の隅々に小さい私が住んでいて、みんなが味見をしたくて必死に暴れているのかもしれない！と妄想し自分の食欲に驚いた事があります。
けれどそんな子供時代の記憶よりも直近で腹が立ったこと、友人の身に降りかかった不幸な出来事などの方がより強い刺激を伴って記憶として残ろうと必死に訴えるのです。
悲しいことや辛かったことは書き残さなくても、悔しいかな結構長いこと頭や体に記憶として残るのです。
長井さんの作品がとても素敵に私に映るのには、私にそういう考え方があるからかもしれません。
長井さんの作品の中には本当にデリケートな感情、あたたかやけれども繊細で壊れやすい、本当は覚えておかなければいけない感情や記憶をうまく描き抑え内包しているように私には写るのです。
簡潔に言ってしまえばその技術と感性がとても羨ましく羨望の眼差しでいかに私も習得できないかと引き込まれるように観察してしまうのです。
前回の個展の直後にも書いたのですが、私がすごいなと思う作家、ミュージシャン、友人、色々な職業に就く方達は皆自分の仕事や好きなことに対して本当に上手に接してらっしゃる方たちが多いのなぁといつも尊敬しています。
友達のはるちゃんにしてみても、もう小さな頃から蕎麦が大好きで自分でいかに上手に蕎麦が打てるかを突き詰めて行った結果体幹を鍛えるためにジムに通い始めたほどです。
自分の大好きや嬉しいに遠慮がないということはとても素晴らしいことです。
どうどうと胸を張っていいことなのです。
それでも私は恥ずかしさや遠慮、見栄のようなもの、つまらないものでごまかしてうまいことやれていません。
私は素直な人間ではないのでしばらくは無理かもしれませんが、それでもせめてすごいと思った人やモノに対してはカッコをつけずに”すげぇや”と言えるようになりたいなと思います。
うめこ
今日の一枚
EOS 6D / EF50mm F1.8 STM / 釜山で撮影
今日の一曲
花*花 あ～よかった
今日の一冊
