うめちゃんからの手紙 2018 No.047 多面観察評価と耽美主義者の書体。

うめちゃんからの手紙 2018 No.047

それにしても髪の毛のボリュームがすごいうめちゃん。

うめちゃんからの手紙 2018 No.047

今日は密度の濃い1日でした。

良い事が一つ、疲れてしまう事が一つ、残念だった事が一つバランスよくあった日でした。

疲れてしまう事の話から始めます。
私の学校では成績表などとは別に多面観察評価というのがあります。
まるで会社員のような制度で学校生活を息苦しくしているような気がします。
会社員だからいいというわけでもなく、学生にこれは酷ではないかと本音では思っていますが、この制度が無くならないのにも理由があるのだろうと諦めています。
ただ悪い事ばかりでもなく、ときどき良い事も書かれているので一長一短だと理解しています。
はるちゃんの多面評価のレポート用紙には去年と全く同じ事が書かれていたそうです。
奇しくも私も去年と全く同じ事が書かれていました。

私の良いところと悪いところは大方予想通りで、もうすこし”積極的”に発言するべきだという事、私ともっと話したいクラスメートがいるからいつも同じメンバーではなく”積極的”にいろいろな子と話すようにしましょうと書かれていました。
良いところは忘れ物がなかった、無遅刻無欠席だったという平凡な感じでした。
でも休まずに学校に行く事も大変な事です、個人的には自慢してもいい事だと思っています。

”積極的”にという言葉が私の多面評価のレポートには何度も使われていました。
客観的に見ても去年から今日まで私は積極性に欠ける人間と人に写っているのでしょう。
自分では”積極的”にクラスメートや友人を観察し彼女らの特徴を記憶し親しくなるための準備に励んでいると思っています。
自己弁護をするのであればあからさまな”友達作り行為”に対し、確かに私は斜に構えている一面はあると思います、ただ長期的に見て無理をしないでも友人付き合いが出来るのは私のような人間ですよ。

良い事の話に移ろうと思います。
中学時代にお世話になった国語の先生に先日出した手紙の返事が今日届きました。
飛び跳ねるほど嬉しい出来事です。
3ページにわたって私の近況報告への返答、先生の病状が小康状態であるということ、先生が好きな写真家の方のお話などが上品にそして達筆に綴られていました。
私もお仕事で伝票や領収書などを書く際に字が上手だと褒められる事が時々あるのですが、私の父と先生の字には一生敵わない気がします。
私の父は祝い事やのし紙、神社仏閣等で綺麗に書かれた字が必要な時、贈り物などの宛名などを筆で書くアルバイトを学生の頃にしており、地元では達筆で知られていました。(祖父も同様のアルバイトを昔はしていたそうです)
ところが私の父なので、私同様極度のあがり症とあまりにも多くの文字を書きすぎた事が原因で書痙になってしまったほどです。
美しい字を書く行為には緊張感のようなものが伴います。
文面や書体で読み手へ自分の体調や精神状態などいろいろな情報が伝わってしまうため、下手には書けません。

余談ですが私は谷崎潤一郎がプラベートな書物のときに使った文字がすごく好きです。
原稿用紙に書く時と手紙やハガキに使っていた文字が異なっていて、後者は気持ちフェミニンで丸みを帯びており可愛らしさがあり、親しみを覚えます。
松子さん宛に書いていた恋文の時はどこかモカロールが好きなあの文豪の姿が溶け込んでいるような、甘さを含んでおり耽美でもあります。
原稿用紙から読み取れる谷崎の自筆は緊張感や焦燥感のようなものがあり、読みやすさはあるのですが圧のような苦しさのようなものすら感じさせる迫力があります。
谷崎潤一郎自身も書痙を患っていたようで、文字にも表れていたのかもしれません。
(2016年末から2017年3月中旬にかけて谷崎潤一郎の自筆にスポットライトを当てた展示が神戸市の谷崎潤一郎記念館でありました。http://www.gurutto-kobe.jp/spentry/entry-628.html

男の作家が女性に宛てて書いた恋文というものに常に興味を持っていて、谷崎の松子さんへの300通近い恋文の他に、同じく耽美主義を語る上で切り離せないジョンラスキンが残した数多くの恋文にも私は興味があります。
ジョンラスキンの事はまた後日お話ししたいと思っていますが、この方の書いたラブレターはイギリス人って昔からパンクロックの時代、そして現代に至るまでアメリカなど他の英語を母国語とする国とは違うのだなぁと納得させる確かな英国独自の英語のリズム感をまとっています。

最後に残念だった事を書きます。
惚れていたというわけではないのですが、気になるキャラクターと言ったらいいのでしょうか、じっくり話してみたいと思っている男性がいました。
その方はキンちゃんの飼い主の方です。
寡黙で大学で地理学などを教える准教授をされる側、古書店街で古地図を扱う家業の専門店のお手伝いをされている男性です。
私の卑しい気持ちなのか見た目で判断していたところもあったのでしょう、勝手に独身だと思い込んでいたのですが、今日あの方が既婚者であるという事を知りました、それも私のアルバイト先に夫婦でコーヒーを飲みにいらしたのです。
そしてその奥様も私の知っている人だったので衝撃でした。
アルバイトを始めて2年になりますが、二人が揃っている姿を見た事が今日までなかったので知る事がなかったのです。
なぜ二人が揃っている姿を見なかったかというと、奥様も私と同種のお店で働いてらっしゃる方で、みんなが休憩をとる時間帯が最も仕事が忙しい時間だからなのでした。

奥様は私が気になっていた方と同じ大学で、元々は英語を教えるためにイギリスからやって来きていた教職員で、今でも仕事を続けているそうですがパンを焼いたりケーキを焼く事の方が好きだという事で結婚後に知り合いのパティスリーカフェで働き始めたのだそうです。
早い話がタイプだった男性が私の祖母とそっくりなキャラクターの女性と結婚していた事に2年経ってやっと気づいたという事です。
私が憧れてしまうけど敵わないなぁと思う女性像はいつだって祖母です。
祖母ではないのに勝手に祖母に脳内恋人を寝取られてしまった気分になり、不都合に悔しい感情を覚えた、そんなダサいうめこの報告でした。

おやすみなさいませ。


今日の一枚

白黒とカラーでポップ。

LEICA M10 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.


今日の一曲

Come on a My House Eri Chemi (江利チエミ)

江利チエミ-Come on a My House Eri Chemi 


今日の一冊

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