うめちゃんからの手紙 2018 No.054 お金を払うものを詳しく知ろう。

うめちゃんからの手紙 2018 No.054

クリームソーダを飲むうめちゃん。

うめちゃんからの手紙 2018 No.054

今日は焙煎工場でお仕事をしてきました。
一番最近に輸入した豆のロットの一部に質が悪い物があり女将さんは苦戦していました。
マスターが定期的にコーヒー豆の生産者の方達に会いに渡航しているのですが、365日現地の様子をうかがい知る事ができるわけではありません。
身近なコーヒー豆の生産地の一つであるエチオピアも現在非常事態宣言が発令され情勢が不安なため渡航できていない現状です。
エチオピア以外の地域でも紛争などで情勢が不安定になる国は多々あり、私たちがコーヒーを飲めている裏側では情勢不安と平和の綱渡りが日夜繰り返されている上で成り立っているわけです。
予想できない事の例に、輸入元の国がめまぐるしく発展を遂げ、農業地として使用されていた土壌の近くに工業団地やごみ処理施設などが立つ場合、もしくは近隣の生産者さんなどが焼畑を行う様になるとガクッと生豆の品質が落ちてしまう事も多々あるそうです。
アジアでコーヒーを生産されている農家の方達はコーヒー専業という方達ばかりではなくハヤト瓜なども栽培されている方も多く、ハヤト瓜の栽培の前には焼畑をする習慣が残っていて環境破壊も危惧されているそうです。1)
私の様な素人でもコーヒー豆農場の近くで焼畑が行われた場合などは匂いで気づく事で出来る場合があります。

私のアルバイトがカフェという事でコーヒー豆を通じて環境破壊や政治の動向などを気にする様になりましたが、普段意識していなかっただけで他の農作物もコーヒー豆同様に様々な苦労が伴っている事は想像に難しくありません。
一生懸命生産者が作ってくれた豆をバリスタの技術で美味しく変化させる事は不可能で、美味しさや個性を損なわない様に丁寧に抽出する事に努めるのみです。
焙煎士やバリスタは豆をまずくしない様に努めるお仕事なのかもしれません。

祖父が以前魚沼産コシヒカリの事を話してくれた事がありました。
祖父が幼い頃は「スズメすら食べない魚沼産コシヒカリ」と呼ぶ人もいたそうで、ブランド力は現在のものと比べ低かったそうで、加えて魚沼産と名乗り流通にのるお米が増えたりと色々な変化があったようです。
農家の方が時間をかけ土壌を改良したり日夜研究重ね今日まで継続してきた結果が今の人気品種である魚沼産コシヒカリに変化してきたそうです。
悲しい事に一番最近の格付けで28年間連続で取り続けていた特A評価から一つ落とし、A評価になってしまったそうです。
昨年の8月の気温の低さや日照条件の悪さなど、人知の及ばぬ異常気象などが要因と言われている様です。
ただ特AとA評価のお米がどこまで違うかというと、これも評価するのが難しく、テスト用にサンプルで抜かれたものと実際に食卓に並ぶものでも大きく異なる事はざらにあり一概には言えない様です。(もちろんその逆もあるわけですが…)

最近でも魚沼産コシヒカリについて産地偽装問題もありましたし、魚沼産コシヒカリの生産地の定義問題などブランド力があるがゆえに難しい問題も絡んでおり消費者側で気をつけようがな場合もあるので、本当に美味しい魚沼産コシヒカリというのは最も買う事が難しいお米とも言える様です。(生産量の30倍以上も流通していると言われています2)
現地に知り合いがいて直接買う事ができる人でなければ実際のところ100%の魚沼産コシヒカリを食べているとは言えないとおっしゃる方もいます。

先ほどの私の職場が輸入しているコーヒー豆同様、時期や生産に携わっている人の移動などで品質が変わってしまうのです。
人知の及ぶ範囲で一生懸命努力をしても気象条件や、生産者の方達ではどうしようもない農地外の状況変化まで予想が立てられませんし対応も後手に回ってしまいます。

私の京都の実家では近江米、四万十米、能登米を中心に全て単一原料米を消費していました。
私個人の一番のお気に入りは四万十米でした。(仁井田米とも呼ばれていて、こちらも特A評価を受賞していたり、有機飼料で栽培されていたりと大変素晴らしいお米です。)
四万十米は父と母が四国一周旅行をした際に高知で立ち寄った個人商店で買ったのがきっかけで、それ以来農家の方から直接購入しています。
ブランド力があるお米ではありませんがとても美味しいお米で大好きです。
近江米は生まれた時から最も消費してきたであろうお米で一番馴染みがあるものです。
そして能登米は母とたまえおばちゃんの友人で農業をされていらっしゃる同級生の方の実家から分けていただいている有機栽培米で、父が毎日精米してくれていたため美味しさもピカイチでした。
この能登米は無農薬な上に、はざ架けで乾燥させており、一般には流通しないマニアックなお米で、農家の方が勉強のために続けている栽培米を分けていただいているものです。
東京の下宿でも実家同様たまえおばちゃん宛に定期的にお米が送れらてきます。
送られてきた玄米はそのまま使う事もあれば1ぶつき程度や、5ぶつき、標準だったりとその日の食事のメニューや体調に合わせてはじめおじさんの指導のもとヒロシが精米してくれています。

自分がお金を払っているものへの興味を持ち理解を深める事でより楽しめる様になる気がします。
食べ物は家電などと違い、説明書が付いてくるわけではないので生い立ちや美味しく食べるためのノウハウを意識しなくなってしまいがちです。
優等生的な事を書いてしまいますが、生産してくださっている方たちへの感謝する気持ち、自分が何にお金を払っているのかをきちんと理解する事が今の時代でも大事なのではないでしょうか。

うめこ


今日の一枚

準備中

LEICA M10 , APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.


今日の一曲

Hitomi Yaida – Life's Like A Lovesong

矢井田瞳-Life’s Like A Love song


今日の一冊

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表紙が安西水丸さんや!

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