うめちゃんからの手紙 2017 No.160 ミルクランチの話。

うめちゃんからの手紙 2017 No.160

お客さんの話に聞き入るはるちゃん。うめちゃんからの手紙 2017 No.160

うめちゃんからの手紙 2017 No.160

今日も雨でした。

午後から晴れるという予報でしたがあてにならないもので降り続いていました。

以前もお伝えしたと思うのですが、私とはるちゃん、マリちゃんが通う魔法学校には毎日10時にミルクランチというおやつを食べながら休める制度があります。

働きながら通学していて仕事の後に学校に来る生徒や、様々な事情でお腹を空かせた生徒のために学校がおやつと牛乳などの飲み物を生徒に提供してくれるものです。

ずっと昔にイギリスでサッチャー首相が学校給食での牛乳の提供を廃止した事で多くの教育関係者や保護者から糾弾されたという逸話をイギリス人祖母から聞いたことがあります。

教育機関にとって子供の胃袋問題もとても大事で、食育と一緒にきちんと考えなければいけない事のようです。

皆が平等にお腹を空かすことなく毎日過ごすせたらとても素敵なのやけれど…

貧しさだけではなくお金があっても食べられない人、心の病気で食べられない人、一人で食べていてすごく寂しい気持ちで過ごしてしまう人、いろいろな人が世界にはいるのだと思います。
私自身も一時期、会食恐怖症だった頃があり、なぜだか食事が通らず体の軸のようなものが震えてしまいスプーンを持つ手に力が入らず、両親に心配をかけてしまった時期がありました。
通っていた小学校にとても厳しい先生がいて、給食の間中教室をゆっくりと歩いて回り生徒の食べる進捗を監視していたのでした。それが小さい頃の私にはひどく苦痛だったのです。
その頃は食事が楽しくなく周りと違う事をしてしまわないようにと、とにかく神経を尖がらせ疲れてしまう時間だったのです。

ミルクランチの話に戻ります…
それでも少しでも希望が持てるような、何かのきっかけになるような…
たとえば直接の解決にはならないかもしれませんが、親の仇のように食べ物を睨みつける生徒がいた時には同級生や先生がその子に気づいてあげられるきっかけになるかもしれません。
本当に些細な事や誰かと会うことや、飲食をしながらの何気ない生徒からの会話も先生や先輩魔女にとってはすごく大事なのだそうです。
部外者から見ると押し付けと思われるかもしれませんし、綺麗事かもしれませんが、先輩魔女たちの思いやりと伝統が感じられる瞬間です。

魔法学校のミルクランチ制度素晴らしいと思っています。
私とはるちゃんはいつもお手伝いに駆り出されます。
はるちゃんは積極的に手伝っていて、すごく仲が悪い子にもきちんと給仕をするので偉いなといつも思っています。
マリちゃんはいつも私とはるちゃんの分のお菓子と飲み物を確保して、私たちの給仕のお仕事が終わるまで待っていてくれます。

みんながニコニコしながら牛乳や想い想いの飲み物と一緒にその日の焼き菓子などをいただきます。

この時間に先生に相談をしたり、時には先生からお願い事をされたり。
新しい友達を作ったり、中には急いで寮や家に戻って忘れ物を取りに帰ったり。
それぞれが思い思いに過ごします。

はるちゃんとマリちゃんと私は学校が終わってからのアルバイトの話とかをよくします。

私たちはみんなカフェで食べ物と飲み物を提供するお仕事をしています。
私とはるちゃんの職場は雨の日になると大変です。
身体中びっしょり濡れた猫のお客様や雨で体が冷え切ってしまい疲れた様子の古紙回収のお客様が雨宿りにやってきます。

乾いたタオルを貸し出したり、古新聞紙を提供して濡れた靴に詰めラジエターの下に並べて乾かせるようにしたりと仕事内容が増えます。

最初は1杯のコーヒーのお代しかいただかないのにこんなにもいろいろしなければいけないのかと本音では思っていました。
それでもマスターは「雨の中来てくれてありがとう!今日も来てくれるんじゃないかと楽しみに待っていたんだよ!」と快くお客様に挨拶をしていました。

お仕事を始めた頃、雨宿りにやってくる常連の古紙回収のおじさんには正直苦手意識がありました。
今は仲良くなり、私とはるちゃんもよく楽しいお話を聞かせていただいています。

お客様の職業に貴賎なし、一所懸命働き稼いだお金でコーヒーを飲みに来てくださるお客様にはどなたも違いはないのだと学びました。

たかがコーヒー1杯、されどコーヒー1杯。
みんなが一生懸命働いて稼いだお金で飲みに来てくれるコーヒーです、
真剣にいれなければいけないなといつも思って勉強しながら頑張っていれています。

茶室の精神とカフェの店内は同じなのだなと。

今日も「おおきに!また来てくださいね!」と古紙回収のおじさんにお礼とさよならをしました。

おじさんも「うめちゃんとはるちゃんも元気でやれよ!」と一言いい手を振って雨の降る街に戻って行ったのでした。

うめこ


画伯のつぶやき

今日は少しだけ僕が通っていた高校に実際にあったミルクランチの事を思い出しながら、お話を書いてみました。

今日の一曲

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Malvina Reynolds / Little boxes

おやすみなさいませ

歌詞はこちらから。 

画伯

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