うめちゃんからの手紙 2019 No.040 たとえば彼がそうであったように。

うめちゃんからの手紙 2019 No.040

たまえおばちゃんの一番最初の猫、ゆたか君。

うめちゃんからの手紙 2019 No.040

魔女が魔女の家に下宿をしているのでたくさんの使い魔に囲まれて普段から暮らしています。
実家では猫以外にもキツネやフクロウなどの使い魔と暮らしてきましたが、下宿でも三匹の猫と私は暮らしています。
たまえおばちゃんは幼少期に飼っていた愛猫の亡くなって以来、長い間使い魔を持たない魔女として暮らしてきました。
そのあと白蛇の倉貫さんと出会い再び使い魔との生活を始めたのですが、ヒロシと私が下宿人として住むようになるまでは猫からは遠ざかっていました。
そして双子が生まれ、あれよあれよというまに使い魔も増え今では二郎と三郎も仲間に加わり賑やかな毎日です。
双子の姉妹である私の母とたまえおばちゃんがそうであったように、双子の二郎と三郎もそれぞれ個性があって兄弟でも大きく異なるキャラクターと愛くるしさがあります。
一応兄ということになっている二郎は怖がりで涙もろく大変感受性が豊かな猫です。
ディズニーの映画はもちろん、はては吉本新喜劇のおきまりの借金で苦労したキャラクターが出てくるシーンなどで泣いたり笑ったりと喜怒哀楽で大忙しです。
最近は二郎にジブリを見せているのですが、トトロであそこまで号泣されるとは思いませんでした。
そして三郎はとてもマイペースで本当によく眠る猫で、これぞ寝子と言った感じです。
田中さんと遊んだりまっちゃんとよく遊んでいて活動的なのが二郎なのであまり三郎が話題に上がることはありませんが、三郎もマイペースですが家族の事をきちんと観察しており、歌子ちゃんや文子ちゃんに変化があった時は起き上がりたまえおばちゃんや周りの人間にすぐに知らせてくれます。
三郎はインドアな趣味が多くたまえおばちゃんと一緒にビデオゲームに興じている事が多いのですが、時々二郎と電車を見に行き写真に収めてきたりとアクティブな一面もあります。
傷が癒えたのかは存じあげませんが、最近はたまえおばちゃんが一番最初に一緒に暮らしていたゆたか君との思い出話を少しずつしてくれるようになりました。
一緒に暮らした人や生き物が死ぬことはとても悲しいことです。

薬物で捕った芸能人のニュースを見るたびに父の亡くなった後輩の方を思い出します。
その方は薬物の過剰摂取で亡くなられたのですが、それを周りは予見できたかと聞かれれば皆が認めたくないでしょうが出来たのだ、けれど何もできなかったのだと父は言いました。

亡くなった人の事を歌った曲、亡くなった人に捧げた芸術作品は数多あり、古今東西多くの人を悩ませて来た事を証明しているかのようです。
お年寄りやペットの場合は病気や寿命、ある程度の覚悟はできるのですが、薬物や自殺で亡くなる人は残される側に猶予を与えず亡くなることが多く心を大きく抉り苦しめます。

平成が平安で戦争なく終えられて良かったという言葉を耳にしました。
私はそれは間違っていると思います、そして憤りを覚えます。
今日も自殺する若者が後を絶ちません。
戦時中となんら変わりがありません。
身分の違いで徴兵されない者もいたわけで、いつの時代も若者が国体を守るために犠牲になり死んでいます。
死は本来とても身近で、それを畏怖することで初めて衣食住があり寝起きできることの幸せを実感できるのではないでしょうそうか。
死が見えなくなってしまっている事、分かりづらくなってきている事に私は警鐘を鳴らしたいのです。
人は簡単に死にます。
私が生まれてから今日までに地図から消えた国はいくつもあります、そして多くの言葉も毎日失われています。
私たちが目を向けていないだけで今日も誰かが消えています、誰かに自分の存在を知らせる事もできずに消えていくのです。

あなたにとって大事な人が消えてしまう前に存在に気づけた事、怒りをぶつけられるという事、思い出を一緒に作れるという事、何かが残っていればそれは恵まれているのだと思います。

無知な私には誰かを責める事も罰する資格もございません。

うめこ


今日の一枚

EOS40D / EF-S24mm F2.8 STM

EOS40D / EF-S24mm F2.8 STM


今日の一曲

例えばヒロ、お前がそうだったように 竹原ピストル

竹原ピストル-例えばヒロ、お前がそうだったように


今日の一冊

オカヤイヅミ-すきまめし

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