どこか誇らしげなギャラリストなうめちゃん。
うめちゃんからの手紙 2018 No.201
昨日は体育の日だったのですが休日出勤をしました。
休日出勤とはいってもヒロシの絵をコレクターさんの家まで運び設置してくるだけでしたので実働は３時間くらいでした。
絵が売れたときに額装してから持ってきてほしいというリクエストを時々いただくのですが、ほとんどのコレクター様がシンプルなものや無垢の木材にニスを塗った額を希望されます。
昨日伺った人形町の御宅は珍しく額縁然とした金ピカで豪華な物に入れてほしいとの要望でした。
普段はほとんどボックスフレームで額装してしまうため絵の側面なども見えるのですが、今回は側面が見えないタイプのものです。
今までで最もデコラティブで豪華な額縁でしたがとても気に入っていただけました。
私の趣味ではないのですが、コレクター様の家に搬入して見ると不思議と絵と組み合わさった時に説得力があり悪くない！これはいいぞ！と思ったのでした。
今回購入していただいた絵はヒロシが油彩の書き方を少しかえ始めた頃の絵です。
最近のヒロシは絵の画面の中で最も暗い部分から描き始めてトーンのバランスをなどを以前よりも考えるようになったと言っていました。
ヒロシが言うには、色彩豊かに描いた絵を白黒フィルムで撮影し同じサイズに引き伸ばしプリントした写真にもオリジナルの絵画同様のトーンの豊かさと立体感を表せるようになりたいと言っていました。
本人が不在のため私が知りうるすべてのこと、ヒロシが最近話していたことをできるだけ正確に話してきたつもりです。
さて今日は学校の後に店舗の方でコーヒーを淹れてきました。
焙煎工場でのお仕事が今月は多くなり店舗に立つ日が少ないのですが、運良く仲の良い常連さんやまっちゃん達にも会うことができました。
まっちゃんにもイギリスからのお土産を直接渡すことができました。
職場のエスプレッソマシーンが１０月からピストンレバー式のものに入れ替わり少し戸惑っています。
Elektraのマシンも今でもずっと置かれていて私もそれを使えばいいのですが、マスターから積極的に両方使うようにとの指示があり頑張っています。
今日の職場での話題は今月の初めにTSGがDutch Bros Coffeeの株を取得したと言うニュースでした。（Dutch Bros Coffeeのプレスリリース）
ちなみにTSGというのは1987年に設立された未公開株式投資会社で、日本でも知られるグラソービタミンウォーターや、サードウェーブコーヒーブームの火付け役とも言われるStump Townなどに投資していることで知られています。1)
主にレストランや飲料メーカー、美容関係、エクササイズビジネスなどの近年生活の質が重要視され伸びてきたブランドに力を入れています。
そしてDutch Bros Coffeeは1992年創業で、アメリカ国内の7つの州で３００箇所以上の拠点を持つコーヒーチェーン店で、従業員数は9000人を誇ります。
参考までに京都の任天堂の従業員数は5101人ですから、コーヒーを売る企業としてのスケールの大きさに驚かされます。（2017年）
Dutch Bros Coffeeはオレゴン州のGrants Passで創業した会社ですが元々はDutch Brosの名からもわかる通り兄弟が牧場経営からコーヒービジネスに事業転換を図り成長してきた会社です。
うまく例えようがないのですがコーヒービジネスの会社でありながら元々は地域密着型でコミュニティ形成やチャリティー活動に注力してきたことでも広く知られている会社で、一杯コーヒーが売れるごとに１ドルずつ子供のチャリティーに寄付されると言うキャンペーンを先日行っていました。
会社の規模からも察することができるかもしれませんがその組織力を生かし前回の発表ではなんと４万３千ドルもの寄付を集めることができたそうです。
毎年580万ドル（今日のレートで約６億５千万円以上）創業者のDane Boersmaさんが２００９年に筋萎縮性側索硬化症で亡くなられたこともあり、ALS関連財団にも多額の寄付をしています。
どこかピューリタニズム精神が残っているような、アメリカンドリームを体現しているような企業で
マスターが先輩のように思いを寄せていた企業がファンドに買収されたわけですから、心中穏やかではありません。
振り返って見ますとコメダ珈琲のような名古屋ローカルだった喫茶店もあれよあれよと言う間にポッカサッポロフード&ビバレッジが出資していたかと思えば韓国系ファンドに買収されていたり、ブルーボトルコーヒーがスターバックスなどと同様にネスレの傘下になっていたりと、小さかった会社が成長したと思ったらファンドや超巨大コンゴロマリットに吸収されていくと言うのがここ3年以内に活発化したように思われます。
Dutch Bros Coffeeの公式サイトにはこのように書かれています。
COFFEE IS WHAT WE DO, BUT IT IS NOT WHO WE ARE.
We may be a coffee company, but we are in the relationship business.2)
簡単に意訳をするとこう書かれています。
コーヒーを売るのが私たちのお仕事ですが、それが私たちの全てではありません。
私たちはコーヒーの会社ではあるけれど”関係性”に重きをおいた商売をしているということです。
コーヒーを売る商売ですがお客様との、地域との、そして人との関わり方を大事にするお仕事と言う考え方に私も強く共感いたします。
TSGからの出資後も変わらず大切に守ってきた価値観を保ち、私たちのお手本になるような企業としてさらに成長していってほしいと願います。
うめこ
今日の一枚
EOS 6D / EF24-70mm F4L IS USM /ベトナムで撮影
今日の一曲
青葉市子 – サーカスナイト
今日の一冊
References