画伯の雑記 – 2021年3月24日 400ft巻が入るフィルムローダーを作りました。

まだ半年も経っていませんが…

フィルム巻き機自作

画伯の雑記 – 2020年11月3日 フィルム巻き機を自作しました。

去る2020年の11月、400ftのVision3フィルムを100ftに巻き直すための巻き機を作りました。
それからまだ半年も経っていないのですが、400ftを100ftの4巻に分けるのがめんどくさくなってしまい、400ftのままフィルムローダーに詰められる様に既存のフィルムローダー改造しました。

フィルムローダーを改造するに至った経緯

100ftに巻き直した物をフィルムローダーに詰めて使う場合、36コマではない半端なフィルムが少なくとも4つはできてしまうという事、フィルムローダーに詰めた最初の数コマはどうしても傷を引いてしまうという事、そして100ftが4巻の場合は4回も装填作業が発生するため傷を引くリスクが増える事に不満がありました。

フィルムローダーの挿入部
バルクローダーの種類にもよりますが、巻いたフィルムのコマ数がカウントできるものは内部に歯車が備わっており、ギアと噛み合う様にフィルムを隙間に挿入していく必要があり、この作業時に傷をつけてしまいがちなのです。

400ftのまま詰められるフィルムローダーがあれば最後の1本だけが半端なコマ数のフィルムになり、傷を拾いやすい巻始めのコマも最初の1本だけで済むためより経済的に傷が少ないフィルムが作れる様になりました。

先に完成したものをお見せします。

400ft対応のフィルムローダー

どれくらいの人が400ft巻の状態のままフィルムローダーを使いたいかは分かりませんが…
400ftから100ftに巻き直す巻機の記事も常に見てくださる方がいる様で、一定の需要があるのではないかと期待して執筆しています。

2021年4月現在、400ftのシネフィルムがそのまま詰められるバルクローダーの3Dプリンターデータがオンライン上で公開されています。
100ftのバルクローダーの3Dプリンターデータは以前から公開されていましたが、400ftのものはつい最近公開されたようです。
巻き取ったコマ数のカウンターが必要でなければバルクローダーの構造自体は単純なので木材でも作れますし、3Dプリンターで設計してみてもいいかもしれません。

この記事はあくまでも暫定版であり忘備録です。
工作には危険が伴います、十分な経験と設備がない場合は決して真似をしないでください。
全て自己責任でお願いします。
当記事を真似した事で生じるいかなる損害についても責任を負いません。
またフィルムの巻き取りは暗室内で必ず行なってください。フィルムの購入方法、細かな寸法などにはお答えできかねます、ご了承ください。
フィルムローダーとバルクローダーの表記の揺れがあるかと思いますが、指しているものは同じです。


フィルムローダー改造のために用意したもの

日動電工 プルボックス 200×200×100 平蓋 グレー PB202010GHW

今回の改造工作自体は単純で、フィルムローダー底部に穴を開け上記の電工ボックスと接着するだけとなります。フィルムメーカーや種類によっても直径は変わってくると思うのであくまでも参考程度にとどめていただきたいのですが、400ft巻の直径は約16cmから17cm程度あります。確実にフィルムが収まる様に200x200x100のサイズのものを選びました。深さもメーカによって色々あると思いますが、設計当初から隙間テープ等で確実な暗箱を作ることを目標にしていたのでスペースに余裕のある100mmにしました。

TRUSCO(トラスコ) グリップノブボルト Φ16 M5×20 TGKB1-M5X20

電工ボックスの蓋には最初からネジが付いていますが暗室でドライバーを使いのは難しいと思いノブボルトを購入しました。
電工ボックスのメーカーと種類等に左右されますが、今回使用したものは蓋に脱落防止ネジが使われていたため暗室でもネジの紛失の心配がなく、ドライバーでネジ閉めができるのであれば無改造でそのまま使うことをお勧めします。
自分は暗室内に持ち込む道具を減らしたかったのでノブボルトを選びましたが、おそらくドライバーで回してもノブボルトを手回ししても大差はないでしょう…

確実に暗箱にするために エポキシパテ

電工ボックスやフィルムローダーの種類や表面の加工の違いでエポキシ樹脂がくっつかないもの、素材を痛めて割ってしまうものもあるかもしれないので同一素材でテストをしてから使用してください。

より確実に暗箱にするために 隙間テープ

暗箱にするために電工ボックスの箱部分と蓋部分に隙間ができない様に使用しました。
25mmだと若干分厚すぎると感じたので適宜最適なものを探してみてください。

使用した工具類

ゼットソー 替刃のこぎり ハンディ150

ピンバイス

ホームセンターやオンライン通販でドリル刃セットの物も売られているので適宜自分の使いやすいものを選んでください。
自分はフィルムローダーの加工にはピンバイスを、電工ボックスの穴あけには電動ドリルを使いました。

割愛した材料等

上記の材料や道具以外にも接着材等必要なものがありますが、素材や表面加工の違いで選択肢も大きく変わってくるため割愛いたします。同じプラスチックに見えてもABS樹脂であったりPVCであったりと種類が色々あり、接着剤の選択を間違えると安全に接着できないため、使用する素材に合わせた接着剤を選んでください。
フィルムに傷が入るリスクをより減らすためと怪我を減らすため、加工部分は紙やすり等で滑らかに加工してください。
暗室内での作業を想定して、失敗と怪我の無いように設計しましょう。

電工ボックスとフィルムローダーの接合を接着剤だけに頼るのは心許ないので、木材を柱として入れています。余っていた角材等を利用したのでこちらも割愛しました。

電工ボックス部分に400ftのフィルムを詰めたのですが、フィルムコアを指しておける心棒が必要です。今回は100ft巻に使われていたコアをM8x100mmのボルトを電工ボックスにナット止めしてそれを心棒としました。

最後に起毛紙を内部に貼ったり、黒のツヤケシ塗料を塗るのも良いでしょう。各々材料選びを楽しんでください。

その他細かな材料は記事内で説明していきます。


今回選んだフィルムローダー

APのフィルムローダーとチェリーハイローダー
今回の400ft対応フィルムローダー作成にあたり、チェリーハイローダーを改造のベースにする事にしました。
現在も販売されているAPのフィルムローダーと過去に販売されていたチェリーハイローダー、ハンザフィルムローダー、LPLデイロールは基本的な構造は同じです。
ただパトローネ装填部分とASA表示版の違いがあり、ニコンやアサヒのマガジンが使えるものとそうでないもの、FT表記とメートル表記、など細かな違いがあります。
今日でも販売が続けられているAPのものはコマ数カウンターと残りFT数の表示はありますが、過去に日本メーカーが販売していたものよりは簡素化され一部機能が省略されています。

同じ様に見えるが少しずつ異なるフィルムローダー

APのフィルムローダーとチェリーハイローダー
APのものでも販売時期によって少し外観が変わったり付属品が変わったりと違いがあるため、ここでは細かな違いは明記せず割愛させていただきます。

改造のベースを選定するにあたり、巻いたコマ数がカウントできる物、底面や側面が平らで接着や加工がしやすいものを条件に探したところ、使い慣れた形のフィルムローダーになりました。

フィルムローダー改造に際して気をつけたところ

フィルムローダー改造の注意点

このタイプのフィルムローダーの長所であるフィルム残量表示メーター部分なのですが、今回の改造ではここに気をつける必要があります。
今回の改造ではフィルムローダーを上から見て右下部に穴を開ける事になります。
底部に穴を開ける改造によってメーター部分からの光漏れのリスクが発生します。

注意点としてはパテを隙間に詰め込みすぎるとフィルム残量カウンターのリセットができなくなってしまうためパテの盛り方を工夫するかフィルムローダーのパーツを一部加工する必要がありました。400ftフィルムローダー

上の様に少しだけフィルムローダー側のパーツを削り干渉しない様にしました。

無改造時のフィルムローダー底部

上の写真の様に改造をしていない状態ですとフィルムが入っている部分までキチンと光が入らない様に設計されている事がわかります。
右下半身に穴を開けてしまうため光漏れのリスクが発生します。
今回はタミヤのエポキシパテで隙間を埋める事にしました。

フィルムローダーの加工

フィルムローダーの加工

今回の改造を大まかに説明すると、フィルムローダー底部にフィルムが通る穴を開ける→400ftのフィルムが入る暗箱と接着、以上となります。
簡単な工作なのですが、フィルムが入る部分と通る部分が完全に暗室になる様に工夫する事、たわみや緩みが生じてもその暗箱状態が維持できる様に接着や隙間を埋める事に工作時間の大半を費やしました。
400ftのフィルムを入れる暗箱に電工ボックスを選びました。
電工ボックスとフィルムローダーは異なる素材なのですが、注意して接着剤を選ぶ事で強固に接着する事ができました。(さらに強度を得るために木材で左右を固めています。)
穴あけ作業自体はフィルムローダーも電工ボックスも簡単ですが断面を滑らかにする作業が大切で必ず行ってください。
棒やすりであったり紙やすり等で滑らかに加工し、怪我やフィルムに傷がつかない様に滑らか加工してください。作業後は切削カスが残らない様に清掃しましょう。

1階と2階

400ftフィルムローダー

フィルムローダーと電工ボックスにフィルムが通る際に十分な隙間になるよう穴を開け接着します。
2階部分は元々100ftのフィルムが入る部分でしたが、改造後もフィルムカウンターのギア部分にフィルムを通す必要があるため、完全に塞がず元々の蓋がそのまま使えるように加工します。
400ftフィルムローダー

フィルムローダー部分と電工ボックスを接着してしまってからの穴あけ作業は困難になるため、余裕を持って大きめの穴を開け、隙間はエポキシパテで埋めました。
実用性はありませんが元々のフィルムローダー部分は光漏れ対策のために隙間をパテで埋めたのと穴を開けた以外の加工をしていないので、100ftのフィルムをそのまま詰める事も可能です。

二つの蓋が必要です

400ftフィルムローダー

右下に写っているのがフィルムローダーに最初から付属していたもの、左に写っているのが上がMDFの内蓋、そして黒いのが電工ボックスの蓋です。

内蓋を用意した理由

400ft巻の厚み以上に電工ボックスが深いため、暗箱部でフィルムがガタつかないように固定しておく必要があります。

400ftフィルムローダー

過去に掲載した自作フィルム巻機でフィルム脱落防止のために用意したMDF円板がそのまま活用できました。MDF円板の直径が150mmで400ft巻の直径よりも小さいのですが、フィルムを作り始めればすぐに150mm以下になるので大丈夫そうです。心配な方は400ft巻より少し大きめの円板を用意すると良いでしょう。MDF円板の上にワッシャーを接着しほんの僅かな隙間を作りフィルムコアとフィルムと接触しないようにしています。そうしないとフィルムが回らないからです。

400ftフィルムローダー

貫通ノブナットを使用しボルトにMDF円板の内蓋が400ft巻を抑えれるようにしています。
使用する心棒/ボルトに合わせて貫通ノブナットも探してください。

上のアフィリエイトリンクのようにボルトの指で摘んで回せるナットだと作業が楽です。
特にこだわりがなければ普通のナットでも良いかもしれません。お好みで。

電工ボックス内部の加工

400ftフィルムローダー

電工ボックス内部に7mmの建築模型用のヒノキ角材を貼り付けています。
元々のフィルムローダーや他社フィルムローダーもそうなのですが、100ft巻でもフィルム側面全体と暗箱が接触しない様に工夫されています。

100ft フィルムローダーのフィルム室

確かな理由は分かりませんが、回転時の傷防止であったり静電気発生等が考えられるので400ft巻機の暗箱でもそれを踏襲しフィルムが暗箱と接触しない様にヒノキ角材で浮く様にしました。

400ftフィルムローダー内部の加工 ヒノキ角材

今回は御茶ノ水にあるレモン画翠さんの建築模型材料売り場で買ってきました。
ホームセンターや建築模型材料店、割り箸等を再利用すると良いでしょう。

安全性を高めるために


電工ボックスの外側と内側の両方をつや消し塗装しています。塗装できない箇所は植毛紙を貼っています。
今回うっかり油性のつや消し塗料を使用してしまったためご紹介はしていませんが、塗料にも色々種類があり各々好みで選んでください。
油性は塗布可能な素材が水性より多いのですが安全性や後片付けの手間で水性に劣ります。
油性塗料は室内での使用がお勧めできないので、耐久性が劣りますが、アクリル絵の具等を100均等で買ってきても良いかもしれません。
最後の仕上げ部分になるので、今回は割愛しました。

暗室での作業は手探りになるため、できるだけ持ち込む道具や刃物は減らしたいと考えています。より安全に確実に作業ができるようにプラパーツの切断面はやすりとサンドペーパーで均し、それでも満足が行かない箇所には植毛紙も貼っています。

さらにもう一手間…

400ftフィルムローダー

つや消し塗料での塗装、エポキシパテでの隙間埋め、植毛紙の貼り付け…
これらの作業も手間なのですがより確実に光の侵入から守るために暗箱の蓋と暗箱の間に隙間テープを貼りました。

400ftフィルムローダー

スポンジの伸縮性を考慮し、蓋部分のスポンジ押し潰れてもきつめに密封できる高さに箱側は隙間テープを貼りました。

物としては上記の商品を今回は利用したのですが、ホームセンターによっては厚手の隙間テープでも切り売りしている店舗もあるかもしれないので探してみてください。自分の最寄りのホームセンターでは25mm厚のスポンジが使われた隙間テープの取り扱いがなかったので少し高価になりましたがオンライン通販で購入しました。
完璧に隙間を埋めた自信はあるのですが、それでも保険としてパーマセルテープを少しでも光が侵入する可能性がある箇所に貼る様にしています。

完成 そして活用する!

構想から完成までとても時間がかかりましたが、やっぱり400ft巻のまま使えるフィルムローダーは大変便利です。
苦労して改造した甲斐がありました。

改造フィルムローダーが完成してから早速400ft巻のVision3フィルムを2種類購入し実際に使用しました。
本体が重くなり高さが出てしまった事で不便になった所も少なからずありますが、本体の重量が増した事で安定感も出たのか、1日だけで800ft分のフィルムを巻く事ができました。

構想段階で1000ftのまま詰められるものを作ってはどうだろうか?と考えたこともあったのですが、一度に巻くのは疲れてしまうと思い400ftサイズで思いとどまりました。
400ftでも疲れてしまった場合はギリギリ冷蔵庫に入れられるサイズなので後日に作業を伸ばす事ができるかなぁとも思ったからです。
800ftを1日で巻いてみて、意外と1000ftでもいけたかなぁなんて思ったりもしましたが、唯吾知足の精神も大切です。
以前作成した巻機もありますから将来1000ft巻を買う事があっても400ftを2本と200ftに分けても良いでしょう、以前よりも柔軟にシネフィルムを購入できる様になりました。

大変長いダラダラとした記事になってしまいましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました。

画伯